12、13日にサンパウロ市南部のインテルラゴス・サーキットで行われた、恒例のロック・フェスティバル「ロラパルーザ・ブラジル」は2日で16万人を集める盛況だったにも関わらず、国民の話題を掴みそこなった。
昨年は動員が13万人と、一昨年の15万人より落ち込んだロラパルーザだったが、今年はインテルラゴスへの会場移転後としては最多となる16万人の動員を記録した。これはジョッキー・クラブで3日間開催だった2013年とほぼ同じ規模の動員数だ。
今年の動員増の原因にヒップホップ界の大御所ラッパー、エミネムの存在をあげる人もいるが、実際の、出演者それぞれに対する客の入りを見てみると、最も多かったのは必ずしもエミネムではなく、むしろ、初日の第2ステージのトリを飾ったフォーク・バンドのマムフォード&サンズという声もある。
客の入りも評判も良かったのは、マムフォードや、2日目の大トリのフローレンス&ザ・マシーン、アラバマ・シェイクスやテイム・インパラといった、20代後半の伸び盛りのバンドだ。他には、エレクトロ系のジャックU、初日の第3ステージのトリを飾ったマリーナ&ザ・ダイアモンズの評判も高かった。
そのほかにも(現地の新聞の批評の中には「観客はほとんどいなかった」との注釈はあったが)、ドイツのバンドのSEEDEやブラジルの若手バンドのヴェルサーレを良いとあげる声もあり、幅の広いところをアピール出来た。
ドル高の続くこの状況で、動員の上昇を記録できたのは主催者側には大きいが、残念なことに、今年のロラパルーザは一般の人々の注目は受けなかった。
それは13日に、ブラジルの歴史上最多の参加人数を記録した、ジウマ大統領罷免を求めるデモがあったためだ。このデモに先立つ11日に前任者のルーラ前大統領に対する逮捕請求が出されたこともあり、国民の反政府感情は一気に高揚し、サンパウロ市内では統計機関のダッタフォーリャによると50万人、軍警察の発表によると140万人がこのデモに参加したとされている。
ロラパルーザ内でこの件に言及したのは、ブラジルのヒップホップ・バンド、プラネット・ヘンプのマルセロD2で、「まったく今日は何て日だ。左対右との権力闘争だ。次に金をぶんどるのはどっちなんだろうな」とステージで語った。