15日発行の英国の医学雑誌『ランセット』によると、ジカ熱に感染した妊婦が小頭症児を産む可能性は1%と16日付伯字紙が報じた。
この記事は、14年10月~14年4月にジカ熱が流行、住民の66%が感染した仏領ポリネシアのデータを解析したものだ。同調査によると、妊娠初期にジカ熱に感染し、胎児が小頭症と診断された例は感染した妊婦1万人につき95人(約1%)だった。仏領ポリネシアは中絶が合法化されており、妊娠後期の超音波検査で胎児が小頭症と判断された妊婦は8人中5人が中絶した。
仏領ポリネシアは本国と同じ基準で統計を取っており、内容は信頼できる。但し、同調査の対象は脳の形成不良による小頭症だけで、他の器官の形成不良による視覚障害などは扱っていない。
今回の調査はブラジルでジカ熱感染と小頭症との関係が疑われ始めたのを受けて行われた。妊娠初期に感染して小頭症児を産んだ妊婦は1%というのは、何事もなく妊娠期間を過ごした場合の50倍だが、妊婦の感染=小頭症児誕生ではない事で安堵する人も多いはずだ。
妊婦が感染すると胎児が小頭症となる(小頭症児が生まれる)可能性がある病気には風疹などもあるが、妊婦の罹患率と小頭症発生率は、風疹1・4%対38~100%、サイトメガロウイルス2・5%対13%、パルボウイルス0・92%対10%だから、ジカ熱の66%対1%は他の病気より低い。
ブラジルは小頭症児認定やジカ熱患者の実態把握、検査法確定など、多くの面で遅れが指摘されているが、13日付エスタード紙によれば、ジカ熱患者や小頭症児が最も多い北東伯は、小頭症児に対応できる小児科や神経科の医師が最も足りない地域でもある。小頭症児は誕生直後からケアすれば正常かそれに近い状態で成長する事も可能だが、治療施設が遠く、経済的な負担が大きいなどの理由で適切な治療を受けられない例も相当数ある。