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東西南北

 逮捕請求が出されていらルーラ前大統領が急遽官房長官に就任することになるというニュースは世界を瞬時にかけめぐった。16日の世界の新聞のサイト速報では、スペインのエル・パイス紙、メキシコのラ・ホルナーダ紙、チリのラ・テルセラ紙がトップ扱いでこれを報じた。アルゼンチンのクラリン紙では2番手記事扱い、米国ニューヨーク・タイムス紙や英国ガーディアン紙でも国際面ではトップの扱いだ。世界の読者は、いくら合法的に進めたことであれ、「逮捕を避けるための閣僚入り」という、一般常識ではなかなか理解が難しい出来事をどう判断するのだろうか。就任予定日の22日までにまだ何か起こりそうだ。
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 15日に公開されたデウシジオ・アマラル上院議員の報奨付証言には、合計で74人、政治家はその半分の37人の名前があげられているが、その中でもっとも言及の回数が多かったのがルーラ氏で、その頻度は実に186回。続いて多いのがジウマ大統領の72回。2人への言及の多さはアロイージオ・メルカダンテ氏の34回、アエシオ・ネーヴェスの14回、テメル副大統領の11回をはるかに上回っている。
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 16日、ネット上では、11年1月1日に行われたジウマ大統領の最初の就任式直前に、ルーラ氏が1度ジウマ氏にかけた大統領のたすきをいったん戻して自分にかけなおすシーンが、改めて出回るという珍現象が起きた。今回の官房長官就任内諾を「ルーラ第3政権のはじまり」と見る向きも決して少なくないが、それを象徴する場面ということか。