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デウシジオが爆弾発言「仕切っていたのはルーラだ」

ベージャ誌(3月19日発行)の巻頭特集

ベージャ誌(3月19日発行)の巻頭特集

 「俺は間違っていた。でも盗んでいないし、汚職もしていない。もちろん聖人ではないが、盗賊でもない」。先週、ブラジル史上最大規模の大抗議行動がサンパウロ市パウリスタ大通りで行われ、140万人(軍警発表)が参加した。実はそこに、デウシジオ・アマラウ上議の姿もあった。ジウマの元右腕的人物で、ラヴァ・ジャット作戦を妨害した容疑で現役議員として初めて現行犯逮捕され、司法取引証言をした人物だ▼兄弟から借りたハーレーダビットソンのバイクにまたがり、民衆に気付かれないようヘルメットをしたまま、沸き立つ抗議集会の様子を見て、ヴェージャ誌やグローボ局の取材を受ける決心をした。ただし本当に「汚職をしていない」かどうかは、今後、司法が明らかにするだろう▼その記事で彼は《ルーラはエスケーマ(からくり、仕組み)を仕切っていた》と衝撃の告白をしている。《ルーラの指令で、証言者を黙らせる工作をしようとして私は失敗した。彼とジウマ大統領は、連警の盗聴が明らかにしたように、司法の仕事を組織的に妨害しようと試みていた。ルーラはペトロブラス幹部の指名に関し、直接に与党幹部と交渉し、それを選挙資金に利用することに関し明白な認識を持っていた》▼先週公開された連警の一連の盗聴を聞くと明らかだ。ジウマを含めた現役閣僚や与党要人へ、ルーラが直接に指示や、命令に近い言葉を発しているように聞こえる。ある意味、今でも〃実質的な大統領〃は彼かと思わせる会話の雰囲気だ▼さらにデウシジオ上議は《ジウマはこの仕組み(ペトロロン)を引き継ぎ、自らの選挙の財源とした。ジウマもすべてを知っていた。ただし彼女は何も知らないかのように振る舞っているだけだ》と右腕だった人物がそう言い切る▼元身内だけに証言は詳細だ。《ルーラは連帯を見せるそぶりだが、本当は自分のことにしか関心がない。たとえばネストル・セルヴェロ、ジョゼ・ブンライ、レナト・ドゥッケに接触して落ち着かせようと、私に依頼してきた時もそうだ。(中略)パウロ・ロベルト・コスタの逮捕の後、ルーラはとても心配していた。幅広い政党とのやり取りの詳細や、浪費的な交渉の実態を、彼は良く知っていたからだ。(あの時点で)ルーラは私にこういった。「この件に注意を払った方が良い。PTを含めてたくさんの人がこの件に繋がっている」。当時この捜査が、ここまでくるとは誰も想像していなかった》▼14年大統領選の資金集めにおける「脅し戦略」も暴露した。《ペトロロンはジウマ再選の財源だった。エジーニョ・シウヴァ大統領府広報局長官は14年選挙の会計責任者であり、資金集めに脅し戦略をとった。企業家に対し、「あなたは仲間か、違うのか? 今の契約を維持したいか、したくないか?」という言い方を繰り返した。この強要は決選投票の時に顕著だった。例えば、エジーニョはリカルド・ペッソア(UTC)(中略)などにそれを言った。ルーラとジウマは去年の中頃からこの件に照準を合わせるようなった。だから彼を大臣格に重用した》▼ルーラ側はもちろん、やられるばかりではない。就任したばかりの法務大臣は「情報漏えいがあれば、連警担当者を容赦なく交代させる」と明言した。明らかにラヴァ・ジャット作戦を意識している。マスコミへの意図的な情報漏えいは、民衆からの支持を得るためのモーロ判事の基本戦略だ。国民的な支持があるからこそ、〃お上〃にたて突くような捜査が、たかが連邦地裁の第一審判事レベルで可能になる。息を呑む攻防はまだまだ続く。(深)