15年、ブラジルは今世紀に入って初の社会格差拡大を記録したと23日付エスタード紙が報じた。
2001年に0・596だったジニ係数(社会格差を測る指数で、0に近ければ近いほど良いとされる)は、14年までの間は毎年、0・006ポイントずつ改善され、14年には0・515になっていた。
だが、15年の第4四半期、これまで減少する一方だった同係数が前年同期比で0・008ポイント増大し、0・523なった。
0・008ポイントという数字は微小とも言えるが、「ブラジルの社会格差は縮小する傾向にある」と賞賛されてきた近年の動向に対して逆行する動きを示すものだ。
第4四半期のジニ係数は、第1期ジウマ政権の大統領府選略局長官で、ジェトゥーリオ・ヴァルガス財団大学院の経済学教授であるマルセロ・ネリ氏が算出したものだ。
社会格差は、国民1人あたりの平均収入の減少と共に拡大した。ネリ氏の調査によると、国民1人あたりの収入は2001年から14年まで、年平均3・3%ずつ上昇してきたが、15年第4四半期には、前年同期比で2・2%減少した。また、「収入」を「就労による賃金」に限ると、減少幅はさらに大きく、マイナス3・24%だった。
収入を働いて得た賃金だけに限らず、政府の社会政策による補助金も含めると、減少幅はやわらげられる。『ボルサ・ファミリア』のような、最貧困層のための生活保護的な出費は減っているが、社会保障全体の経費は増えている」とネリ氏は語る。
「社会福祉政策は二つの面で苦しんでいる。貧困家庭で分け合うための資金が減った事と、(所得減少や失業者増加で)富の分配が不平等になったことだ」とネリ氏はまとめた。