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板垣氏、立花氏
板垣氏、立花氏

日本語センター=二世、立花氏が新理事長に=ブラジル学校経営者で初=板垣勝秀氏は2期で退任

 ブラジル日本語センターの「第28回通常総会」が19日午後、同センターで開かれた。単一シャッパが承認され、2012年から2期4年間理事長を務めた板垣勝秀氏(68、北海道)が退任、新理事長に立花アルマンド氏(61、二世)の就任が決まり、新体制が発足した。二世理事長としては96年に就任した津野豪臣(たけおみ)氏以来だが、同氏は半年ほどで退任したため、実質的に初二世トップともいえそう。ブラジル学校経営者としても初。

総会の様子

総会の様子

 サンパウロ市内のマルピアーラ学園の経営者、立花氏は挨拶で「このブラジルという国は広く、地方によって教育のやり方に違いがある。それを考慮に入れて、日本語センターに携る皆の力を合わせていくのが大切」と意気込みを話した。
 退任にあたり板垣氏は「もしセンターの仕事が無ければ、日系コロニアの皆さんとこれほど関わることもなかった。皆さんとの出会いは私の宝」と謝辞を述べる。総会にはブラジリア、クリチバ、スザノ、リンスからも会員が集まり、約50人が出席した。
 昨年度の収入は128万9044レ、支出は126万6894レとなった。今年度の予算案は173万686レ。田中栄一会計理事は「役員は手弁当、教師会員もボランティア同然で、職員も無駄遣いしていない。それでも資金が足りず、助成金への依存度が高くなっている。一度立ち止まって考えるべき」と冷静に話した。
 総会では立花氏から板垣氏へ感謝プレートが手渡され、写真撮影のあと懇親会が行なわれた。
 本紙取材に板垣氏は「現状として非日系の日本語学習者が増えてきた。一世の視点ではなく、二世でありブラジル人である立花さんの目から見ることで、違う切り口が出せるのでは」と後任に期待を託した。課題としては財務体質を挙げ、「助成金は毎年保証されているわけではない。収入を確保して資金面が安定すれば、より有意義な活動も展開できるはず」と述べた。
 去年迎えた創立30周年では全伯の関係者に呼びかけ、長年日本語教育に貢献した教師とその協力者ら68人に功労賞を贈った。今年に入っても日本財団から120台のタブレット(電子端末機)を寄贈されるなど、日語教育の普及を推進し続けた4年間だった。
 丹羽義和事務局長は「板垣さんは積極的に地方の研修会に出席し、現場の声を汲み取っていた」と話し、「彼のおかげで日本語センターも、新しい方向へ舵を切ることができた」と述べた。
 新役員は次の通り(任期2年、敬称略)。会長=立花アルマンド、副理事長=諸川有朋(総務)、高橋正剛(財務)、志村マルガレッテ(教育)、川村真由美(同)、書記=杉浦マルコス、会計=田中栄一。


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 ブラジル日本語センターの総会で繰り返し聞いたのが、「日本語は外国語になりつつある」という言葉。日系家庭内で受け継がれる言語としてではなく、外国語として学習する言葉ということだ。この転換期に、勤勉さや忍耐などの日本人らしさが失われないか懸念される。願わくば、言語だけでなく道徳や修身など、日本人の特質も同時に学べる教材が全伯に普及してほしいところか。