ブラジルを覆う経済危機は、多くの企業を倒産、休業に追い込んでいる。サンパウロ州では15年に4451の工場が閉鎖された。この数は14年の3584から24%の増加だったと28日付エスタード紙が報じた。
休業ないしは閉鎖された工場は多業種に渡る。操業を停止した工場の多くは操業再開の目処がなく、完全に閉鎖された。だが、操業を再開する希望を捨てずに代替案を探す企業や、買い取り手を待っている企業もある。
解雇された従業員の多くは遅配分の給料も、解雇手当も受け取っていない。ブラジル地理統計院(IBGE)によると、ブラジル工業界では15年11月から16年1月までの3カ月で、113万1千人もの雇用が失われた。
コンサルタント会社GOアソシアードスの経済調査部長ファビオ・シウヴェイラ氏は、「閉鎖された工場や失われた雇用の数々は塵と化した。この状態は後数年は続く」と語った。
それぞれの分野で牽引役を果たしてきたメーカーも、需要の低下や増税、生産コスト上昇、高金利、投資削減などで閉鎖の憂き目を見ている。
工場閉鎖のペースは、年が変わっても一向に緩やかにならない。大サンパウロ市圏グアルーリョス市では先週だけで、Eaton社、Maxicon社、Randon(R)社の工場閉鎖が決定した。
「この状況は短期間では変わらない」とR社人事部長のダニエル・エリィ氏は語った。最盛時の同社は1千人以上の従業員を抱えていたが、現在は雇用調整により130人に減っている。
IBGE内の調査機関によると、ブラジル工業の生産高は、16年1月までの12カ月間で8・7%減少した。これは09年11月以来、最大の下げ幅となる。
16年1月は、前月比0・4%増と若干の上昇を見せたが、これも確固たる回復基調の表れとはいえず、工場閉鎖と従業員解雇は今後も続くと見られている。
産業開発研究院(Iedi)所長のペドロ・ウォンチョフスキー氏は「ブラジル工業界の今後2年のシナリオは、経済状況に大きく左右される」とした。
Iediによると、15年第4四半期のブラジル工業界の実績は世界主要国の中で最低だった。同四半期のブラジルの工業生産高は、前年同期比で12・4%下落。これは世界平均の1・9%増やラ米平均の4%減はおろか、ロシアの5・7%減も大きく下回っている。
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