ブラジル政府は欧州各国に大量に押し寄せている、または、向かおうとしているシリア難民の一部を受け入れるための交渉をドイツ政府と行っていると3月31日付エスタード(E)紙が報じた。
この計画は、ブラジル法務省が先週、ブラジリアにあるドイツ大使館に提案したものだ。3月30日にはブラジルとEU代表者同士の会合が実現した。
法務省の国家局長ベット・ヴァスコンセロス氏は、ブラジルとドイツ、EUとの間で対話が行われた事を認め、現在は、この計画を実現させるためのEU側からの具体案の提示を待っているところだと説明している。
ブラジルの難民受け入れ数に関する議論はまだ行われていない。受け入れ対象となるのは、現在トルコ、レバノン、ヨルダンにいてドイツに向かおうとしているシリア人と、既にEUに入っていて、ドイツを目指している難民だ。ブラジルは難民の輸送にかかる費用の一部をEUが負担することを求めている。
輸送費用の一部をEU側が持つというブラジルの要望にも関わらず、この提案はアンゲラ・メルケル、ドイツ首相に、好意的に受け止められているという。
メルケル首相は15年に、国境を難民に対して開放する政策を取った。これにより、これまでに合計110万人もの難民がドイツに入国した。
当初、メルケル首相の決断は国内外で英断と称えられた。しかし、15年大晦日から16年新年にかけてケルン市で起きた集団窃盗や性的暴力事件に代表されるように、国内治安悪化の問題が頭をもたげると共に、国民の間に不満が高まり、3月13日の地方選では移民排斥を唱える右派政党が票を伸ばした。
ドイツ政府は表向き、難民受け入れ策に変更はないとしているが、メルケル首相は水面下で妥協案を探ろうとしている。
3月30日、国連での難民問題解決を探る会合で、レジーナ・ダンロップブラジル国連大使は「戦争の災禍で家を追われた難民達が(内情回復で)自国の家に戻れる日まで、国際的な協力が必要だ」と語った。同大使は続けて、ブラジルは13年以来、人道的観点から8500人の難民に永住ビザを発給していると述べた。
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