梅田邦夫駐ブラジル日本国特命全権大使が3月31日に来社し、リオ五輪や日系社会との連携強化について説明、「ブラジルが世界有数の親日国となったのは、日系社会の貢献によるもの。それが世代交代を迎えており、今まで一、二世は何も言わずとも協力してくれたが、若い世代にはこちらから働きかけることが重要」などと意欲的に展望を語った。
リオ五輪については、馳浩文部科学大臣、鈴木大地スポーツ庁長官のほか、次回の開催地として東京都の舛添要一知事、遠藤利明・東京五輪担当大臣らも訪れる予定。安倍晋三首相には再来伯してほしい旨を伝えており、「できれば皇族の方にも」と期待している。
日本人選手と観光客の安全対策では、テロ・強盗・ジカ熱等の感染症に重点を置く。ブラジルでテロ事件はないが「ヨーロッパで起こっていることを考えると、神経質にならざるを得ない」とも。この2月から観光ビザの数次化が実施されていると報告した。
「人的交流」に関して、14年に来伯した安倍首相の肝いりで、日系人を対象とした招聘や研修プログラムを新設、全体の採用人数も増加させた結果、93人から142人に枠が5割増しとなった。日系を含むブラジル人一般の交流事業「産業人材育成」では13年に232人から15年に311人、昨年新設された「JUNTOS!中南米対日理解促進交流プログラム」で、西森ルイス連邦議員、財界関係者、州政府関係者30人が3月に訪日した。
日系社会ボランティア派遣は13年には52人だったが、16年には97人と倍増した。日本語教育分野の取り組みには、パラナ、リオ、マナウス、南大河州の各連邦大学で4月から無料の日本語講座を開講予定だ。「草の根文化無償」による日本語教育施設支援も進めるという。
梅田大使は「県連日本祭りが見本となって、各地に日本祭りが生まれている」と高く評価し、今後も積極的に協力していく意向だという。「日本食が広まった理由は、日系団体の婦人部のおかげ」と分析し、今年から日系団体婦人部数人をJICAにより日本へ招聘して料理研修する枠組みを始める。同時に和食料理人の青年ボランティア派遣をする予定。
レシフェ、ベレンの領事事務所を総領事館へ戻す格上げを本省に要求中、今年度予算でも引き続き要求を行なう。
梅田大使は日伯の受刑者移送条約が2月に発効したことに触れ、「これで国外犯処罰、受刑者移送がそろい、日本で犯罪を犯してもブラジルへ逃げることは出来なくなった」との意義を強調した。日本の刑務所には220人ほどのブラジル人がおり、半数が帰伯を希望との調査もある。ブラジル内にも「数人程度」の日本人受刑者がいるようだ。
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日本政府、現地日系社会、国際交流基金が協力してアマゾナス州政府を支援した結果、「ジジャウマ・バチスタ校」は州立学校ながらも、なんと日ポ両語のバイリンガル(二言語話者)教育を今年から始めた。梅田大使が視察した折も、「理科と算数の授業を日本語で行なっていた」という。公立学校でバイリンガル教育、しかも日本語は当地初。ぜひマナウスにある進出企業はそんな人材をどんどん採用してほしい。官民合同で日本語普及を。サンパウロ市の日系コレジオも負けていられない?!
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