ルーラ労働者党(PT)政権が2007年1月に導入した経済活性化計画(PAC)は、ジウマ政権になってもPT政権の目玉政策であり続けているが、同計画で公表された2万9千件の公共事業の内、完成したのは16・8%のみと6日付エスタード紙が報じた。
ルーラ前大統領時代の07年~10年(PAC1)は、1万6542件中9・3%が完成した。また、「PACの母」の異名を取るジウマ政権の第1期(11~14年、PAC2)は、PAC実施率が26・7%に上昇した。しかし、PAC2で完成した事業の6割はPAC1を引き継いだものだった。
PACとして発表された全ての事業中、その割合が極めて大きい上下水道工事を外して計算すると、ルーラ時代のPAC1の実施率と、ジウマ時代のPAC2の実施率は、25・4%と35・9%に上昇する。
実施率調査を指揮した経済学者のクラウジオ・フリスタク、ジュリア・ノローニャ両氏は「インフラ(基礎構造部分)関連のPAC事業に投入した資金の利用効率は非常に低い。PAC1からPAC2に持ち越された事業の多さは、履行率が低く、遅れが目立った事を意味し、工事費が計画当初より膨れ上がった事も目を引く」と語った。
10年から14年の間に行われた見直しによると、PACのインフラ事業費は当初の予算より平均で49%増えており、完成までの工期(月数)の平均も、当初の計画の倍以上となっている。
当初の計画より工費が膨らんだ代表的な例は、サンパウロ州サントス港の底の泥を取り去る浚渫工事(4倍増)と、ベロ・オリゾンテ市の地下鉄1号線工事(9・4倍増)だ。逆にフォルタレーザ市の地下鉄工事の工費は、予算額を4%下回った。
工期が最も遅れているのは、14年末になっても着工さえされず、91カ月の遅れが指摘されたジャトバ水力発電所建設だ。完成までの見込みで遅れが最も小さかったのは、サントアントニオ水力発電所の6カ月だ。
PAC計画が07~14年にもたらした直接、間接の経済効果は、国内総生産(GDP)の0・89%~1・45%(平均1・23%)増程度とされる。前述の経済学者たちは「需要面から見て、PACのインフラ事業はブラジル経済を成長させたと言えるが、その効率性は低く、今後も多くの経済効果は期待できない」と語っている。