ファビオ・ポルシャ、グレゴリオ・ドゥヴィヴィエール2人の人気若手コメディアンがユーチューブに「供述」と題したコントを投稿した。それはこんなシーンから始まる。
「鉄鉱最大手のVale社からの賄賂2500万レアル(8億円相当)を受け取ったのは、民主社会党(PSDB)の上院議員でした」と収賄容疑で捕まった下院議員が報奨付供述(いわゆる司法取引)をしている間、捜査官は退屈そうにあくびをしている。
しかし、汚職暴露の供述が夕食会の詳細に及び、「PSDBと民主運動党(PMDB)の議員がいた」「全て公金で払われた」「シャンパンを開けた」と続いた後、「イカ墨(イカはポルトガル語で〃ルーラ〃、現在、汚職疑惑真っ只中の前大統領の名前と同じ)のリゾットを食べた」と話した途端、捜査官が生気を取り戻し、同僚に「おい、逮捕令状請求していいぞ。裁判官にルーラの尻尾を捕まえたと知らせろ」と命じた。
大統領罷免に動いているPSDBや、数日前までは大統領側だったPMDBの名前が出ても反応しなかった捜査官が、現大統領と一蓮托生の仲ともいえるルーラ前大統領を想像させる名前を聞いただけで「逮捕してしまえ」とのたまう。
親大統領派や前大統領擁護派にとっては「捜査官や裁判官はルーラ氏逮捕の口実を探しているから、こんないい加減な情報にも反応するんだぞ」との皮肉を込めたコントに、現状やや優勢といわれる反大統領派・大統領罷免派にとっては、連邦警察捜査官らを揶揄するコントに見える内容だ。
このコントはすぐさま大反響を呼び起こした。ユーチューブには見た人が「気に入った」「気に入らない」と感想を送るための機能がついているが、4月5日現在、投稿からたった3日で視聴回数は400万回を超え、「気に入った」が27万、「気に入らない」が47万ついている。
「供述」は連邦警察の仕事を馬鹿にしていると、視聴ボイコット運動も引き起こした。
コメディアン達は、その活動の文化的価値が政府(つまり大統領側)に認められると、ルアネー法という法律で活動資金の融資を受けられるため、コメント欄にはコメディアン達を指し「お前らは買収されている」と書き込む人も現れた。
このグループの脚本家アントニオ・タベーはフェイスブック上で、今回の騒動を「くだらない。表現の自由ってもんがある。『供述』を気に入らなかった奴らも好きな事を言えば良い」と切り捨てた。タベーはさらに、労働者党(PT)を批判する作品もあることに触れ、彼らが作る作品は一つの政党や現象を保護したり批判したりするものではなく、あらゆる政党や動向を笑いの対象にするつもりであることを明らかにした。(5日付フォーリャ紙、エスタード紙などより)
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