【既報関連】サンパウロ州保健局が8日、サンパウロ州でのH1N1による死者は70人を超えたと発表、大サンパウロ市圏では11日、予防接種を待つ人々が保健所の前などで長蛇の列をなしたと9、11日付伯字紙やサイトが報じた。
サンパウロ州でのH1N1患者急増は、北半球での患者急増の影響とデング熱やチクングニア熱、ジカ熱を恐れる市民が窓や扉を締め切りがちで、換気が悪くなっている事、サンパウロ州では14、15年の接種率が低かった事などが重なっているようだ。
サンパウロ州での死者70人というのは昨年全体の7倍で、サンパウロ市での17人(4月5日現在、昨年は0)など、予期せぬ時期の流行に振り回されている様子がうかがわれる。サンパウロ市では、がん研究所やダンテ・パザネゼ心臓病研究所、クリニカス病院児童研究所のように、院内感染で重症者や死者が出るケースも出ている。
これらの状況を受け、大サンパウロ市圏内では保健所などの公立医療機関での予防接種を前倒しし、4日からは医療従事者、11日からは6カ月以上5歳未満の子供、妊婦、60歳以上の人、先住民を対象に予防接種を始めた。18日からは出産から45日以内の母親や慢性病患者も優先的な予防接種の対象となる。なお、4月30日~5月20日の全国キャンペーン期間中も接種は継続される。
アレッシャンドレ・パジーリャサンパウロ市保健局長は11日、「予防接種で使われるウイルスは死んでいるから、接種を受けたせいでインフルエンザにかかる心配はない」とした上で、熱のある人は熱が引いてから接種を受けるよう勧めている。
なお、SUSで行っている予防接種はH1N1とH3N2(どちらもA型)とB型の3種混合型で、民間の診療所で行っている予防接種はB型が2種の4種混合型だ。
サンパウロ州以外で予防接種を前倒しする州は、ゴイアス州(12日から)、サンタカタリーナや南大河、連邦直轄区(25日から)となっている。