ブラジル・レコード製作者協会(ABPD)が12日、ブラジルの音楽視聴に関する2015年の統計を発表した。
国際レコード産業連盟(IFPI)が同じようなタイミングで発表した統計によると、2015年は、約20年ぶりに、世界における音楽市場の収益が上昇した年になったという。世界での上昇率は3・2%だったが、ABPDが発表したブラジルでの伸び率は10・6%だったという。
ブラジルの市場の内訳を見ると、収益の60・96%は定額配信サービスやダウンロードなどによるデジタルの音楽視聴によるものだった。残りの39・04%は「フィジカル」、つまりCDやレコードといった現物音源によるものだ。
ブラジル市場で特に目立つのは定額配信サービスの存在だ。ブラジルにはここ数年で、スポティファイ、ディーザー、アップル・ミュージックといった定額配信の世界的大手が次々と進出しており、有料視聴版による収入が192・4%増とほぼ3倍に上がり、無料視聴版、つまりサービスに対する広告による収益も30・7%上昇。収益も有料版が1億1230万レアル、無料版が9540万レアルとなった。
その一方で、itunesなど、音源のダウンロードでの購買は0・2%増と微増に終わり、収益も6580万レアルと、定額配信に一気に追い抜かれた。また、携帯電話によるダウンロードも4・9%とわずかに上がったのみで収益は4300万レアルだ。
一方、CDの売上は15%減で収益は1億4300万レアル。有料・無料の定額配信の合計収益の3分の2ほどの金額に過ぎなくなった。また、DVDの売上は28%下がって、5900万レアルの収益となった。
定額配信の場合、全世界的に見て、無料版の利用者が9億人いて、有料版の6800万人の13倍も多いにも関わらず、収益は、有料版が20億ドルで無料版が6億8千万ドルと3分の1という矛盾を生じさせている。そのため、音楽家に正当な報酬が払えないのではないか、との苦情は少なくなく、そこが課題と言われている。
エスタード紙の記者、ペドロ・アントゥヌス氏は、この統計を伝える記事で「配信サービスに反対することは、地球が球形でないと信じ込むことと同じだ」とし、時代の流れには逆らえないと強調している。(13日付エスタード紙より)
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