17日の下院本会議でのジウマ大統領(労働者党・PT)罷免の投票を4日後に控えた13日、社会民主党(PSD)とブラジル社会党(PTB)が、(罷免反対の議員はいるものの)党としては罷免賛成との立場を明らかにした。これによりジウマ大統領が、罷免回避に必要な172票を確保するのはかなり厳しい状況になった。14日付伯字紙が報じている。
PSDのジルベルト・カサビ党首は13日、同党下院議員が会議を行った結果、大半が罷免賛成の意向であったことをジウマ大統領に伝えた。カサビ氏によると、38人いる同党下議のうち、28~30人は罷免賛成の意を表明したという。カサビ氏自身は、投票翌日の18日までは都市相に在任する旨も伝えた。
また、連立与党ではないものの、PTBも19人中15人の下議が罷免賛成に投じることになると発表した。PTB党首には14日、2005年に発覚したメンサロン事件の際、PTが当時の連立与党に対し、議会での支持と引き換えに贈収賄を行っていたことを暴露したロベルト・ジェフェルソン氏が再就任した。同氏は収賄罪で7年間の実刑を言い渡されたが、3月に最高裁が刑を免除して以来、積極的に罷免賛成を訴えていた。
これで大統領は、民主運動党(PMDB)や進歩党(PP)、ブラジル共和党(PRB)など、まとまった票が見込める大、中規模の政党の支持を失ったことになる。
連邦政府側は、連日起きる、頼っていた政党の支持喪失に危機感を強めている。現状ではPTの57票、13日に与党残留を宣言した民主労働党(PDT)の20票、ブラジル共産党(PCdoB)の11票、中立の社会主義自由党(PSOL)の6票など、合計してせいぜい120票程度の見込みしかない。
さらに14日、PMDB下院リーダーのレオナルド・ピッシアーニ下議が「党の90%が罷免賛成に票を投じることになる」と発表した。ピッシアーニ氏はPMDBにおける親ジウマ派の代表格だったが、波を抑えることはできなかった。PMDBは下院最大の67人の議員を擁しており、60票あまりが罷免賛成に入ることとなる。
これで、40票を擁する共和党(PR)が党全体で罷免反対に票を投じても逆転は難しくなったが、同党でも罷免賛成派が多数いると報じられている。
こうした状況にジウマ大統領は13日、「罷免を回避できれば和平宣言を出すが、できなければおしまいだ」と語り、ルーラ前大統領も「罷免になったら街を歩けない」と弱気な発言をしているという。
国家総弁護庁(AGU)は14日、17日の下院での罷免審議継続か否かの投票を差し止めるよう、最高裁に訴えた。
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