地理統計院(IBGE)が18日、17年上半期に予定していた農業の国勢調査を中止すると共に、調査員の採用試験もキャンセルする事を決めたと19日付フォーリャ紙が報じた。
農業の国勢調査は国際機関からも推奨されており、16年度の予算案審議で予算が削減された後も、調査費削減は見直されると踏んで準備を進めていたが、18日朝、改めて、6400万レアルの予算削減見直しはないとの通達を受け、中止を決めた。
この調査には8万人の手が必要とされ、5月に採用試験を行う事になっていたが、この試験も中止となったため、既に払い込まれた試験料は当事者に払い戻される。
農業の国勢調査は、企業からの情報が中心となる工業・サービス業関係の調査と違い、登録さえされていない無数の小規模農家からの情報が大きな比重を占める。17年上半期の調査のためには、今年中に3億3千万レ、来年も10億レの経費が必要とされていた。前回調査は07年で、10年に1度という基準から行けば来年が実施年だが、予算の大幅削減で資金繰りのめどが立たず、中止を余儀なくされた。
農業の国勢調査は、生産農家に関する情報以外にも、農薬や水の使用状況、農業従事者や家族経営の農家の実態、農業用地内の森林の有無、農業生産に使われている機材などについても調査してきた。
これらの情報が定期的に更新されない場合、公的な農業政策の策定にも影響し、国内総生産(GDP)その他の統計をまとめる上でも支障をきたす可能性が強い。
IBGEは昨年も、予算不足のため、人口の国勢調査の中間調査を中止している。IBGEでは16年に行う調査は維持するが、農業の国勢調査は18年に延期。その後は、20年の人口に関する国勢調査の準備にかかる意向だという。