今年に入ってから、サンパウロ市ではアンゴラ人からの難民申請が急増している。国家難民委員会(Conare)によると、今年の1月から4月18日までのアンゴラ人からのブラジル難民申請は630件で、1日当たり6件を超える。15年は総数1100件で、14年はわずか189件だった。
入国のペースが急増した背景と、対応に苦慮する現場の様子を19日付エスタード紙が報じた。
この加熱傾向は2月に頂点を迎えた。カーニバル直前に子供を抱えたアンゴラ人女性50人が、一気に到着したのだ。
予期せぬアンゴラ人急増に対処するため、サンパウロ市は緊急に2棟の難民用住宅を用意し、266人の母親とその子供を受け入れた。その他にも、19の路上生活者受け入れ用の施設でアンゴラ人を受け入れている。
大半のアンゴラ人女性は2人以上の子供を同伴しており、夫と共に来た例はまれだ。27人の女性は到着時に既に妊娠しており、中には8人の子供をつれてきたケースもあった。
難民達は母国で受けた政治的、宗教的迫害を理由にあげている。彼女達はブラジルを人生の新天地として選んだ。しかし難民達は、アンゴラの経済危機から逃れてきたという仮説も存在する。
難民申請者の多くは観光ビザで入国しており、教育レベルも決して低くない中流階級出身だ。ほぼ全員がブラジルに身寄りのない状態で来ている。
サンパウロ市市役所は3月末、法務省にアンゴラ人が集団で到着し始めた原因を調べるよう要請した。
サンパウロ州立大学のアフリカ言語、文化および黒人の国外離散研究センターのコーディネーター、ダゴベルト・フォンセッカ氏は、「難民達が受け入れ先の政府に『自国の経済が悪いから来た』と言うことはない。『政治的、宗教的に迫害を受けたから来た』と言うものだ」と語った。
サンパウロ市にあるカリタス修道女会難民センターは昨年中382人、今年も既に346人のアンゴラ人を受け入れている。コーディネーターのマリア・クリスチーナ・モレッリ氏は「多くのアンゴラ人は政治的抑圧や不安定な政治を避けて母国を脱出してきた」と語る。
同氏は続けて、妊婦達がブラジルに来るのは、医療体制が不安定なアンゴラでは胎児の命が危ないと判断したほか、ブラジルで出産すれば両親も永住権を得られるとの計算があってのことではないかと推測している。