リオ五輪のテストイベントとして16~18日に開催された体操競技で、アルトゥール・ザネッチがつり輪で優勝。決勝後の記者会見では、15年の世界選手権での同種目優勝者で、21日に行われる五輪の聖火採火式後、最初にトーチをもって走るギリシャのエレフテリオス・ペトルニアスに、「彼がいたからこそ、これだけの演技が出来た」と感謝の辞を述べた。
テストイベント最終日の18日、つり輪決勝で3番目に演技を行ったアルトゥールは15・866の高得点を挙げたが、最終演技者は昨年の世界選手権優勝者のペトルニアスだけに、本人も観客も最後まで気を抜く事ができない。アレーナ中の観客はペトルニアスの得点発表を固唾を呑んで見守り、15・833と発表されると同時に大歓声を上げた。
ロンドン五輪のつり輪で優勝したアルトゥールにとり、団体出場権獲得を最優先したために世界選手権でのつり輪の決勝進出を逃した事はやはりショックだったが、「今回のテストイベントで良い演技が出来たのはペトルニアスのおかげ」との言葉は嘘ではない。
五輪会場でもある場所で最大のライバルを抑えて優勝した事で「ホッとしているのでは」と聞かれたアルトゥールは、「とんでもない、本番では彼が金メダルを奪い返しに来るさ」と答えた。
一方のペトルニアスは21日、ギリシャのオリンポスで行われる聖火の採火式に参加、太陽光から採った火を最初に受け取って走るという大任を負っている。
聖火リレーの第1走者は、前の五輪大会以降で最も目覚しい成績を上げたギリシャ人選手と決められているが、自分が第1走者に選ばれたと知った時、ペトルニアスはほとんどで車をぶつけそうになったという。「アルトゥールが聖火の最終走者になるといいな」というペトルニアスの願いがかなうか否かはまだ不明だが、ブラジル人最初の聖火リレー走者は、1992年のバルセロナ大会と2004年のアテナ大会で優勝、現在はリオ五輪組織委員会でバレーボールに関する責任を負うジオヴァニ・ガヴィオだ。ジオヴァニも採火式に出席し、ペトルニアスから聖火を受け取る。
なお、体操のテストイベントでは、女子が団体出場権を獲得した他、フラヴィア・サライヴァが個人総合で銀、床で金、平均台で銀を獲得。膝の手術で戦列離脱後、2月に復帰したレベカ・アンドラーデも、段違い平行棒で銅を獲得し、本番でのメダル獲得に夢をつないだ。(19日付リオ2016公式サイト、19日付エスタード紙などより)