ホーム | 日系社会ニュース | トヨタ=新型エティオス2017発表=他社苦戦のなか存在感強める=占有率8.6%達成の牽引役
発表されたエティオス2017
発表されたエティオス2017

トヨタ=新型エティオス2017発表=他社苦戦のなか存在感強める=占有率8.6%達成の牽引役

 競合欧米他社が軒並み苦戦を強いられるなか、存在感を強めるトヨタ自動車。それを象徴するように19日、サンパウロ州モジ・ダス・クルーゼス市内ホテルで「エティオス2017」新車発表会を行なった。エティオスは2012年から投入された小型車種で、今回の新型では燃費改善された新型エンジン、六段階手動変速機やトヨタ・スマート・スクリーンといった多機能搭載型液晶パネルなどが採用された。今月28日から販売開始で、年間販売目標を10万8千台と見込んでいる。

 昨年度同期と比較すると、2016年1月―3月期には自動車産業全体が28・6%縮小している。その中でトヨタは1%の成長を遂げ、市場占有率8・6%を記録した。特にエティオスは突出しており、昨年同期比12%増となった。
 大統領罷免問題といった政治危機、為替変動や回復兆しのない経済など取り巻く環境は依然として厳しい。だが、ブラジルトヨタ・近藤剛史社長は「昨今の経済不況の中でも、売上・販売台数は保っており、流動的な経済情勢に対応できる準備がある」と説明した。
 世界戦略におけるブラジルの位置づけについて、「ブラジルでは10人あたりの自動車保有数は1・6台であり、伸びる余地はまだ大きい。コスト競争力を高め、ラ米地域に向けた輸出拠点としたい」とスティーブ・セイント・アンジェロ・ブラジル最高経営責任者は意気込んだ。
 エティオスは、セダンタイプ及びハッチバックタイプが2012年9月よりブラジルで販売開始されたが、「トヨタがブラジルでこんなに安価で簡素な自動車を販売するのは初めてだ」と当初は顧客からの〃厳しい評価〃に晒された。近藤社長は、「エティオスは新興国向け世界戦略車として投入されたが、事前の市場調査やブラジル向け商品企画のコンセプトが全て甘かった」と当時を振り返る。
 しかし、顧客から寄せられた様々な要望に対して、真摯に耳を傾け、改善に改善を重ねてきた。2013年には、クロスオーバーエティオスを追加し、品揃えを拡充。シート表皮変更やシートハイトアジャスター採用など、商品改良を重ね、販売台数を徐々に伸ばしてきた。
 「販売店・サテライト店を強化することで顧客の利便性向上に努め、現地での営業・エンジニア・商品企画の連携が強化された」ことが、厳しい経済状況のなかでもトヨタが地域社会に根ざし、躍進を遂げている秘訣と言えそうだ。
 ブラジル経済の見通しはまだ厳しい。だが「クルマづくりを通じて地域社会に貢献する」との創業以来の理念のもと、ブラジル経済復興の牽引役となることを目指している。