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雪ダルマ式に膨らむ負債=年末にはGDPの75%に=新政権は爆弾抱えて発足

 ジウマ大統領の罷免問題などで政治的にも経済的にも動きが止まったブラジルだが、公的負債の増加は止まらず、2月現在の基礎的財政収支赤字額は国内総生産(GDP)の10%超の1250億レアルに達したと27日付フォーリャ紙が報じた。
 大統領の罷免審議継続が決まり、180日間の停職となった時点で大統領代行となるミシェル・テーメル副大統領は、巨額の負債を抱えたまま、船出となる。24日付フォーリャ紙によれば、ブラジルの公的負債は13年12月の時点でGDPの51・7%。14年11月以降、基礎的財政収支は赤字続きで、国債の利息を払う余力どころか、通常支出を賄う力さえなくしたままだ。
 このような状況下で財相に迎えられたジョアキン・レヴィ氏は、公的負債の軽減も視野に入れた財政調整を行うはずだった。だが、連邦政府の足並みさえ揃わない中、議会との交渉も難航して財政調整は頓挫。15年12月現在の公的負債はGDPの66・5%に膨れ上がり、16年末の負債はGDPの74・4%に達する見込みだ。
 基礎的財政収支の赤字は、15年9月の233億レアルを境に拡大の一途を辿り、粉飾会計の清算を求められた15年12月以降の赤字額は常に1千億レ超だ。24日付フォーリャ紙によれば、国、州、市を合わせた公的負債の額は4兆レを超えており、現在は1日20億レのペースで負債が増えているという。
 現状で4兆レを超えた〃時限爆弾〃解消には、収入を増やし、支出を減らすしかない。景気後退が著しい中、増税せずに税収増を望むのは難しく、生活扶助などの社会政策を縮小すれば突き上げられるはずだ。
 テーメル副大統領は、国際的にも知名度が高く、市場からの信頼も高い人物としてエンリケ・メイレイレス氏を財相に起用する意向。生活扶助の支給対象の絞込みなども検討し始めたが、年金制度などを含む政治・財政改革は一朝一夕では達成困難で、劇的な支出削減は経済刺激効果を生む源を断ちかねない。
 27日の通貨政策委員会がSelic(経済基本金利)を引き上げなかった事は、購買力低下に悩む消費者や企業家、国にとっても朗報だ。
 一方、国への負債返済は複利ではなく単利でと訴え、最高裁に認められた州がある事で、国は26億レを受け取れなくなる可能性がある事は27日付エスタード紙などが報道。同件に関する最終審理は60日間延期されたが、この間の返済分は単利となるため、国側には大幅減収となる。