ベネズエラ=盛り上がる大統領リコール運動=国民投票求める署名提出=体制派の妨害恐れる野党
かつてない経済危機に苦しむベネズエラで、ニコラス・マドゥーロ大統領の退陣を求める陣営が2日、国民投票実施に賛同する署名185万人分を国家選挙審議会(CNE)に提出したと3日付伯字紙が報じた。
「大統領のリコール」のための国民投票開始手続きは、選挙人登録者数の1%の署名を集める事から始まる。
CNEは4月26日、国民投票実施を求める署名を集めるための用紙のモデルを作り、30日以内に署名を集めるよう指示した。野党側はあっという間に250万人分の署名を集め、6日目の2日に、最低限必要な19万7978人分の9倍以上にあたる185万人分をCNEに提出した。
CNEは5日以内に署名数とその有効性を確認後、更に5日かけて、署名者本人に本当に国民投票の実施を望んでいるかを確かめて指紋を採取する。この作業後、選挙人の20%にあたる約400万人分の署名を集めれば国民投票の日時を決める手続きに入る。
ただ、CNEは体制派が中心で、野党は常に、大統領罷免への動きを牽制または妨害していると批判してきた。署名の有効性などを確認する委員会は4月29日に設立されたが、委員は体制派のみ。CNEのメンバーの一人は署名の確認作業は30日間の猶予期間が過ぎた26日以降に開始と発言して、野党のエンリケ・カプリレス・ミランダ州知事らから強い批判を浴びた。
また、署名者本人に本当に国民投票を支持するかと確認する段階で、CNEがブラックリストを作成し、反体制派に圧力をかける可能性もある。
マドゥーロ大統領の支持率は低下の一途で、野党側は400万人分の署名はすぐに集まると見、種々の妨害があっても年末までには国民投票実現と見ている。マドゥーロ氏のリコールには、2013年にウゴ・チャベス大統領が亡くなった直後に行われた選挙で、同氏が獲得した750万票を超える票が必要だ。
ベ国は世界有数の産油国だが、13年以降、原油価格値下がりなどで経済が悪化。食料品やトイレットペーパーも店頭から姿を消し、年150%のインフレ。干ばつによる電力供給危機で1日4時間停電し、電力不足を理由に公務員の勤務日数と勤務時間削減など、混乱が続いている。