上院でジウマ大統領の罷免審議が進む最中の9日、ヴァウジール・マラニョン下院議長代行(進歩党・PP)が突如、下院が4月17日の本会議で行った大統領罷免審議の継続を問う投票は無効と宣言し、大混乱が生じたと同日付各紙サイトが報じた。
マラニョン氏は、5日の最高裁本審理でエドゥアルド・クーニャ下院議長が議長職を解かれた事を受け、副議長から議長代行となったが、代行となった初日に行った「驚く事が起きるぞ」との発言は、思いもしない形で実現した。
4月17日の投票結果を無効にするとの判断は9日昼前に発表された。同氏によると、これは総弁護庁(AGU)が4月25日に出した、各政党が罷免問題に対する態度を決め、各議員が自らの意思で賛否を選択する前に政党としての考えを発表したのは事前の裁判に相当するとして、罷免審議の手続きを無効とするようにとの要請を受け入れた結果だという。
下院の第1書記によると、AGUの要請は下院での投票結果が上院に通達され、上院が下院の決定を受け入れるか否かを審議するための手続きに入ってから出されており、下院議長団は期限を過ぎてからの要請だとして無視する事に決めていたという。
ところが、クーニャ氏の職責剥奪で議長代行となったマラニョン氏が、独断で無効化を宣言。上院にも午前11時37分に、下院からの要請に基づく審議の差し戻しを要請する文書を送った。
マラニョン氏は上院が差し戻してきた時点で、再投票の手続きをとるというが、ブラジル弁護士会や野党下議達は当面、上院の判断を尊重する意向だが、上院の動きいかんによっては最高裁に訴えると共に、下院倫理委員会にマラニョン氏の議席剥奪を求める意向だ。
上院は既に罷免特別委員会を開催し、6日に罷免審議継続を求める報告官の意見書を15対5で承認。9日の本会議で特別委員会からの意見書を朗読、11日の本会議で是非を問う予定だった。過半数が承認すれば、大統領は180日間の停職となる。
レナン・カリェイロス上院議長は9日、政党代表と緊急会合を開いて対応を協議。副議長の司会の下で開催された本会議では、意見書の朗読を見合わせ、各自が罷免審議継続の是非についての見解を表明。上院議長は午後4時に上院での罷免審議継続を発表、マラニョン氏からの要請を拒絶する意向を表明した。
上院の罷免特別委員会のライムンド・リマ委員長も「この期に及んで下院の投票無効を宣言し、上院での審議を中断させるのは、議会内の秩序に反する行為」との見解を表明。意見書はその後、本会議で朗読された。
なお、マラニョン氏は4月17日の本会議で審議継続に反対を唱えており、政府や出身州知事らからの圧力を受けた決断と見られている。