労働省の関連機関であるリオ州労働雇用監督局が9日、リオ五輪のためのTV塔や選手村の工事の中止を命じたと同日付各紙サイトや10日付伯字紙が報じた。
工事の監査は12人の監督官によって行われ、建設関連企業35社の他、食事や警備などを担当する企業の勤務形態などを監査した。中止命令が出たのは、先週、危険を指摘されたのに、9日の監査で改善措置もとらずに作業を継続していた事が判明した工事だ。
4日に警告を受けたのはTV塔の建設工事で、作業員や資材の落下防止のための防護柵が設置されていない部分がある事と、エレベーター用の穴にアクセスするための空間が無防備である事、梁の高さの防護柵がない事が、労災防止基準に反すると指摘された。
5日には、選手村の土地を掘り下げる作業で、明確な計画書がなく、各種の表示や現場を隔離する措置も不足しているとの理由で作業停止が命じられたが、翌日も作業は続いていたという。
ロブソン・レイテ監督官は9日、「リオ市役所や五輪組織委員会、五輪に関連する公的機関の長達とも対話を重ねてきたが、市役所は労災を防ぐための基準を守ろうとしていない。五輪関係の工事には法を遵守していないものが相当数ある」との見解を示した。
五輪関係の工事は13年に始まったが、既に作業員11人が死亡している。「14年のW杯の時は全国で8人死亡、ロンドン五輪での死者はゼロだったのに、今大会関連では既に11人が死亡している。それなのに、労災防止のための基準が遵守されていないとは」とレイテ氏は嘆いた。
同監督局が危険や不備を指摘した場合、工事再開には、72時間以内に行われる再監査で指摘箇所の改善がなされた事が認められる必要がある。
リオ五輪組織委員会は9日、労働省の基準は全て遵守しており、TV塔の工事も計画通りの日程で完成できるとの見解を発表した。一方、地盤整備に関する監査を行うGeo―Rio基金は、選手村の地盤整備を担当するErwill社に労働省の基準にそった労災防止措置を採るよう指導し、2カ所で隔離措置が採られた事を認めた。選手村での工事再開の日程はまだ未定だ。
リオ市役所は同件に関するコメントを避けているが、7日には、コンデ地区の歩行者専用道の一部の落成式も行われた。