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18日は青少年に対する性犯罪撲滅の日

 「ブラジルは女性の天国」―。20歳でブラジルに来た主人は当時、こんな言葉を聞いた。だが、この言葉を額面通り受け取ってはならない事を思い出させるのが、家庭内暴力や性犯罪の報道だ▼夫から暴行を受けていた上、銃撃で下半身不随となった女性の名前を冠したマリア・ダ・ペーニャ法は、家庭内暴力や性差故に生じる事件防止のための法律だ▼一方、1973年5月18日に起きた8歳女児の誘拐、殺害事件を悼み、青少年に対する性犯罪撲滅を呼びかける日も制定された。この女児は誘拐後に薬物を飲まされ、強姦された上、遺体を焼き捨てられた。それまでは常に兄と同じ学校に通っていたのに、父親の職場に近い所に引越したため、別々の学校にバス通学するようになって数カ月後、悲劇が起きた▼5月24日に発見された女児の焼死体は数カ月後、DNA鑑定で本人だと確認された。目に入れても痛くないほどかわいがっていた娘が、いつまでたっても帰らない。それだけで気も狂わんばかりの思いをするのに、強姦、殺人、更には遺体に放火という非道な扱いを受けたのだから、遺族の悲しみの深さは推して知るべしだ▼昨年5月27日にはピアウイ州で少女4人が集団強姦の後、手首を切る、目を潰すなどの暴行を受け、高さ10メートルの崖から投げ落とされるという事件も起きた。被害者の1人は入院先の病院で死亡。加害者の成人1人と少年4人の内、少年1人は少年院で殺された。被害者や遺族、加害者本人や家族も皆、複雑な思いで1周年を迎える。73年の被害者の兄の「妹の事を思い出さぬ日はない」との言葉を読み、同様の思いをする人が起きぬよう、改めて願わされた。(み)