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開会挨拶をする島袋会長と発表者、コメンテーターら
開会挨拶をする島袋会長と発表者、コメンテーターら

沖縄県人会=文化継承の重要性を討論=第9回沖縄フォーラム=琉球舞踊や太鼓で人格形成

 ブラジル沖縄県人会(島袋栄喜会長)は15日午後、「ウチナーンチュ文化アイデンティティーの問題」をテーマにした第9回沖縄フォーラムを本部会館で開催した。「自身にとっての沖縄文化」「沖縄文化の特質」などに関する5人の発表が行われ、約200人が熱心に聞き入った。

 島袋会長は開会の挨拶で「世代を超えた文化継承について考えて」と語りかけ、比嘉アナマリア実行委員長も「各々の経験を交換する中で沖縄文化の価値を確認できる機会」と挨拶した。
 最初の発表は宮城あきらさんの「沖縄文化の特色」。島の歴史を振り返り、「ウチナーンチュの魂、普遍的な文化を、子孫がどう継承していくかが最も大きな問題だ」と述べた。
 アマンデウ・シゲオ・アルメイダさんは「ニセタ・ツアー」について発表。若者に沖縄文化に興味を持たせるために、世界各国の県系青年が年に1度集まり、絆を深めるイベントのことだ。1月に当地で開催し、若者の活動意欲を高めた。「三線教室では先生、生徒といった関係ではなく、友達の立場で教えあうことで友情を作り上げた」との工夫を報告した。
 井豆ジュリアナ・サユリさんは「琉球舞踊と私のウチナーアイデンティティー」をテーマに語った。故島袋順子先生と出会って琉球舞踊を始め、沖縄芸術大学への留学。母県で琉球舞踊大会に出場するなど、踊りを通して交流を深めてきたと発表。彼女は今、琉球舞踊教室で教えており、子供への文化継承も実践中だ。
 与那嶺・カミヤ・セルジオ・トシオさんは「エイサー太鼓を通じた若者へのウチナー文化アイデンティティーの形成」について述べ、琉球国祭太鼓で活動してきた実経験をもとに人格形成への影響を論じた。「文化は動的で常に変化する。コミュニティの中で育ってきた人はその文化を自然に吸収する。ブラジルの文化や国民性はまだ途上にあり、ウチナー文化を広げることでより良い国作りに寄与できる段階にある」とした。
 上原テリオさんは「生き方を形作る上でのウチナー文化の重要性」を講演、「両親の働く姿を見て学び、その教えを実践してきた。慈善活動に貢献できる喜びやコミュニティ活動に参加することの重要性」を語った。
 第2部では熱心な討論が行われ、レキオス芸能同好会が賑やかな太鼓等を披露した。来場者の嘉陽茂子アメリアさん(78、二世)は「沖縄の文化や歴史が良く分かった」と満足げな様子。発表者のジュリアナさんは「私の目標はこの文化を全伯に広げていくこと」と力強く語った。


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 沖縄フォーラムでの発表者はみな、親の影響で日系人の文化活動に参加し始め、それを友達に広げているようだ。また、場内では活動を「フォーラ(一般社会)にも広げよう」という意気込みと団結の様子が見られた。このフォーラムはポ語中心に行われており、それゆえ三、四世も参加しやすいよう。他の県人会でも、文化継承について若い世代と積極的に討論してみてはいかが。