第69回カンヌ国際映画祭に参加しているブラジル映画「アクエリアス」の監督や出演者が17日、赤じゅうたんの上でジウマ大統領の罷免の動きに抗議したと18日付伯字紙が報じた。
同作品は最高作品賞「パルムドール」の候補作で、同日午前のプレス公開で好評を博していた。ハプニングが起こったのは同日午後、公式公開の直前の事だった。
クレーベル・メンドンサ・フィーリョ監督や女優のソニア・ブラガらが報道陣の前で、「ブラジルでクーデターが起こっている」「ジウマ、私達は貴女と共に戦う」「ブラジルはもはや民主国家ではない」などと書かれたプラカードを掲げた。監督や俳優達は、上映室に入る際に「ブラジルのクーデターを止めろ」と書いた横断幕も広げた。
ジウマ大統領はこれを受け、ツイッターに「支援を感謝! 素晴らしい映画『アクエリアス』制作チームの皆さんに、民主主義の名のもとにキスを」と投稿した。
メンドンサ監督は「アクエリアスの主要テーマは、資本主義的搾取に対抗し、ヒューマニズムを守ること」と語り、罷免の動きをアンチ・ヒューマニズムになぞらえて批判した。
12日朝の上院での罷免審議継続可決から1週間。国内では、罷免そのものに反対する活動と共に、テーメル暫定政権が発表した閣僚や政策に抗議する動きも出ている。
暫定政権に対する批判の最たるものは、テーメル大統領代行が発表した省庁削減において、文化省が教育省に統合されたことへの批判だ。
文化省統合への批判は南東伯から北東伯までの諸州で上がり、17日までに少なくとも10の州都で、公的機関の占拠や役所前での抗議行動などが起きている。サンパウロ市、リオ市、ベロ・オリゾンテ市で起きた国立芸術財団(Funarte・旧文化省傘下施設)への泊り込みも、文化省統合への抗議行動の一つだ。
サンパウロ市の同財団本部は、Funarteのフランシスコ・ボスコ理事長解任発表と同じ17日午後、文化系運動の活動家と労働者党(PT)関係者によって占拠された。
リオ市文化局がある市中央部のグスターヴォ・カパネマ宮殿では16日以降、50人近い人が泊り込みで抗議を行っている。ベロ市でのFuarte占拠は、15日から始まっている。
ベロ市での抗議行動を主導している歌手のマカレイ・カーは「文化省は教育省の傘下ではなく、独立したままでいるべき」と主張している。
上院教育委員会は17日、メンドンサ・フィーリョ教育文化相を呼び出し、同省が今後いかに文化部門の政策、計画を保ち続けるかを説明させる事を承認したが、公聴会の日取りは未定だ。