ミシェル・テーメル大統領代行(民主運動党・PMDB)が18日、下院政府リーダーにアンドレ・モウラ下議(キリスト社会党・PSC)を指名したが、同下議は公金横領の疑いで、最高裁での刑事訴訟3件の被告となっている。その他に、殺人未遂やペトロブラス(PB)社関連の汚職関与など少なくとも3件で捜査対象となっていると19日付伯字各紙が報じた。
「子供もいるんだろ、用心しな。路頭に迷うかもしれないぞ」―。セルジッペ州ピランブ市の警察に当時市長だったジュアレス・バチスタ・ドス・サントス氏が、こんな脅しを受けていると届け出たのは07年6月6日のことだった。
脅迫の主とされているのはサントス氏の前任者で、18日にテーメル大統領代行によって下院の政府リーダーに指名されたアンドレ・モウラ現下議だ。
モウラ下議は、「セントロン」と呼ばれる下院のグループと、停職中のエドゥアルド・クーニャ下院議長(PMDB)が推していた人物で、同議長の〃右腕〃的存在でもあった。
テーメル大統領代行がモウラ下議を下院の政府リーダーに選んだ事は、クーニャ氏が下院に遺した、13政党、225下議からなる巨大派閥「セントロン」への〃すりより〃を意味している。
下院の政府リーダーへの指名後、モウラ下議はクーニャ氏の影響を否定し、「私は6年間の下議職を通じて、同僚の多くと良好な関係を築いた。罷免審議が下院を通過したのは我々のグループの協力があったからこそで、私は13政党の支持を得てリーダーに選ばれたといえる」と語った。
モウラ下議は1997年~2004年にピランブ市長を務めた。訴状によると、同下議は市長職を退いた後も〃実質上の市長〃として君臨し、妻を局長に指名させ、自分が任命した職員も継続雇用させる、15個の携帯電話や5~8台の公用車の経費を払わせる、月3~5万レの金を払う事などを要求した。サントス氏は「06年の州議選出馬時からモウラ氏の要求はエスカレートし、100万レを請求。金が払えず、状況が一気に悪化した」と語っている。
殺人未遂容疑は07年の事で、サントス元市長は「モウラ氏が要求した金が払えず、同氏の父親に助けを求めたら、脅迫が始まり、07年6月23日に覆面をした4人組が自宅侵入を試み、警備員が銃撃された事で頂点に達した」と語った。
モウラ下議に関して進行中の捜査の一つは、この警備員銃撃による殺人未遂容疑だ。同下議はラヴァ・ジャット作戦でもクーニャ氏絡みの疑惑で捜査対象となった8人の議員の一人で、セルジッペ州議時代に通信会社と違法契約を結んだ容疑でも捜査を受けている。
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