ラヴァ・ジャット作戦(LJ)で大型汚職が摘発され、世界一の負債を抱える企業となったペトロブラス(PB)の新総裁に、フェルナンド・エンリケ・カルドーゾ(FHC)政権で官房長官や企画相を務めたペドロ・パレンテ氏(63)が指名されたと20日付伯字紙が報じた。
パレンテ氏は現在、サンパウロ商品先物・証券取引所(BM&F Bovespa)の取締役会会長で、資産管理会社の共同経営者でもある。ミシェル・テーメル大統領代行は、FHC政権下で起きた電力危機(2001年)解決にも尽力した同氏の手腕を高く買い、粘り強い交渉の末に応諾を得た。
パレンテ氏の就任は、23日に開催されるPBの経営審議会での承認待ちだが、アウデミル・ベンジーネ現総裁は交代を容易にするために辞任する考えも明らかにしており、同審議会での承認は確実と見られている。
PBは、2014年3月に始まったLJの最大の標的で、複数の理事や役員が汚職に関与したとして断罪された上、総裁も交代。ベネジーネ氏はPB再建を担うべく、2015年2月に任命された後、15カ月間、負債軽減などに努めた。
PBは15年を348億3600万レの赤字で終え、12日には、第1四半期も3四半期連続となる12億6千万レの赤字だったと発表された。
第1四半期は採掘船のメインテナンスなどもあり、原油や天然ガスの生産量が昨年同期比7%減で2005年並みとなった上、為替変動や負債の利息返済などで赤字が出たが、3月末現在の総負債額は、投資減額や傘下の企業売却などで15年末現在より9%少ない4500億レとなった。ベネジーネ氏は第1四半期の赤字を埋めるために100億ドル分の株式売却を図るなどの改善努力を続けており、その業績は高く評価されている。
このような流れの中で総裁就任を要請されたパレンテ氏は、指名後に持たれた記者会見で「国家再建のためにと請われ、断り切れなかった」とした上、「今後は政治家による理事指名はない」と断言。財務理事留任などに関する質問には「経営審議会の承認も必要」と答え、明言を避けた。
なお、Bovespaは現在、証券の金融決済と監視センター(CETIP)との合併を進めている最中のため、当面はBovespaの取締役会会長とPB総裁を兼任する可能性も高い。
タグ:ペトロブラス 汚職 天然ガス 原油 FHC 写真ニュース ラヴァ・ジャット サンパウロ