21日、ミシェル・テメル大統領代行(民主運動党・PMDB)が、芸能人をはじめとする強い反対圧力を受け、一旦は教育省に統合して廃止した文化省を復活することを決めた。ブラジルの芸能界は労働者党(PT)と結びつきが強いことで知られている。22日付伯字紙が報じている。
テメル大統領代行は、政府予算削減の都合上、32あった省を23に削減したが、その中に文化省も含まれていた。同省は教育省に統合され、マルセロ・カレロ氏が文化局長に就任することも既に発表されていた。
だが、同省廃止は女性や黒人が大臣に選ばれなかったことと並び、テメル政権の問題として直ちに批判を浴びた。社会活動団体は、サンパウロ市やリオ、南大河州ポルト・アレグレ、セアラー州フォルタレーザなどで廃止反対の抗議活動を行った。
さらに芸能人の多くが猛烈に反発した。その中には米国アカデミー賞にもノミネート経験がある女優フェルナンダ・モンテネグロや、世界的歌手のカエターノ・ヴェローゾといった大御所の名前も含まれている。
ブラジルでは、1991年に制定されたルアネー法により、音楽や映画、演劇などの活動に対し、文化省から援助金が支給されている。また、ブラジルの芸能界はPTとの結びつきが極めて強い。音楽界と密接なつながりがあることは、ルーラ政権下でジルベルト・ジル、ジウマ政権下でシコ・ブアルキの実妹のアナ・デ・オランダ氏が文化相に就任したことなどからも、垣間見られていた。
また、同省が、PMDBの重鎮であるジョゼ・サルネイ氏が大統領時代の1985年に制定されたことも大きかった。自身も小説家で知られるサルネイ氏は、テメル氏が同省廃止を決めた後も、復活を強く望んでいた。
こうした圧力にテメル氏も抗しきれなくなり、メンドンサ・フィーリョ教育相が21日、自身のツイッターで文化省が復活することを明らかにした。
芸能界における反テメル勢力はかなり大きく、フランスで先週開催されたカンヌ映画祭では、ブラジルから出展した映画「アクエリアス」の制作者、出演者が「ジウマ大統領への罷免の動きはクーデター」と主張する抗議運動を行った。また、21~22日に行われたサンパウロ市恒例の文化事業「ヴィラーダ・クウツラル」でも、出演歌手が続々と反テメルのメッセージを掲げ、観客と一体化した抗議活動を展開していた。
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