ホーム | ビジネスニュース | ほぼ10カ月ぶりのドル安=6営業日連続の続落で=米国利上げ見送りが主因
米国利上げ先延ばしの見通しがドル安に振れる要因となった(Rafael Neddermeyer/Fotos Publicas)
米国利上げ先延ばしの見通しがドル安に振れる要因となった(Rafael Neddermeyer/Fotos Publicas)

ほぼ10カ月ぶりのドル安=6営業日連続の続落で=米国利上げ見送りが主因

 8日のレアル/ドル相場は6日連続のドル安となり、前日比マイナス2・28%の1ドル3・368レアルを記録した。これは昨年7月29日以来の低水準で、一日の下げ幅としても今年4月11日に記録したマイナス2・76%に次ぐものだったと9日付伯字各紙が報じた。
 ドルはレアルに対し、6営業日で6・71%下落し、15年3月30日から4月8日にかけて記録した下げ幅(5・71%)を上回った。
 8日のドル安の動きはとりわけ、ゴールドファジン中銀新総裁がインフレ率4・5%を目指し、ドル安を容認するのではとの期待から起こったものだ。ブラジル地理統計院(IBGE)が8日に発表した5月のインフレ率は0・78%で、12カ月間の累積インフレ率は9・32%となった。
 ここ数日のドル安には、別の二つの要因も作用している。一つは米国の利上げは年末まで持ち越されるだろうとの予想で、もう一つは5月の中国貿易収支が予想以上の輸入増となり、コモディティ価格の上昇と相まって新興国からの資源輸出増が見込めるからだ。
 サンタンデール銀行のアドリアーナ・ドゥピタ経済分析員は、「米国利上げが先送りされるとの判断で、世界的規模のドル安傾向が起きている」という。先週までは米国の利上げは7月までに行われると見られていたが、今では12月実施との予想に変わっている。
 投資コンサルタント会社、ガイド・インヴェスチメント社の経済分析員イナシオ・クレスポ・レイ氏は、現状は新興国市場にとって有利だが、ブラジルレアルは、他の新興国や資源輸出国の通貨と比べ、対ドルの優位性が際立っているとしている。
 同氏はさらに、中銀がインフレ抑制を目的として1ドル=3・50レアル以下程度のドル安を容認したとしても、3・30レアル以下は考えにくいとの見方を示した。
 中銀の通貨政策としては、先物市場でレアルを売ってドルを買う、リバース通貨スワップが実行される可能性がある。市場は、これまで1ドル=3・50レアルを、リバース通貨スワップを実行するためのガイドラインと見てきた。
 「中銀は財務省と歩調を合わせ、インフレ率を4・5%に抑える努力をしている。現在行われている取り組みは全て、同じ方向を向いている」とレイ氏は結んだ。