当地の化学機器専門商社SINC社の買収を、4月末に発表した島津製作所(先月19日付け既報)。これを機に、当地の子会社SBL(有限会社シマヅ・ド・ブラジル・コメルシオ)の的場俊英社長らに、買収に至る経緯や展望を聞いた。
SINC社は過去28年間、販売代理店としてサービスを提供してきたが、株式譲渡による買収で完全な直販体制に移行する。買収に合わせ、本社移転やサービス拡充にも踏み切り、合計1200万米ドルを投資することになった。
買収に関し的場社長は、「販路の最適化のため行うべき課題であった。計画を始めたのは去年8月から。SINC社も協力的だった」とし、「大幅なレアル安であったことも買収決定を後押しした」と説明した。
本社移転は買収に伴う人員増加のため。サンパウロ市内から近郊のバルエリ市に移転する。敷地面積は約3900平方メートルで、9月までに移転予定。また技術者育成講座「クルソス・シマヅ」にも引き続き注力し、新本社では顧客対応窓口「カスタマーソリューションセンター」を新設する。専門家が課題解決に応じるサービスを開始するという。
今回の投資で、新たな市場の開拓や顧客対応力を強化し、南米市場での業績拡大を狙う。的場社長は「ブラジル市場の競合は米国が多い。日本を代表する分析機器の企業として、ブラジルでの販売力を強化し、市場占有率1位を狙う」と目標を定め、「販売から開発まで一気通貫で行うことで、お客様の要望、夢に迅速に応えたい」と意欲を見せた。