ホーム | ブラジル国内ニュース | サンパウロ市寒波=困窮する路上生活者たち=私物も没収の警備隊に批判=施設に入りたがらない人も
寒波で路上生活者は生命の危機に瀕している(Rovena Rosa/Agencia Brasil)
寒波で路上生活者は生命の危機に瀕している(Rovena Rosa/Agencia Brasil)

サンパウロ市寒波=困窮する路上生活者たち=私物も没収の警備隊に批判=施設に入りたがらない人も

 記録的寒波に襲われているサンパウロ市では、10日以降、これまでに少なくとも5人の路上生活者の凍死が記録されていると13~15日付伯字各紙、サイトが報じている。
 フェルナンド・ハダジサンパウロ市長は14日、市警備隊(GCM)が路上生活者から、暖を取るための段ボール紙やマットレスといったわずかな資材を取り上げている事に関して、路上生活者たちがファヴェーラを再構成する事がないようにするためだと説明した。
 同市長はまた、GCMには路上生活者たちの個人的な所有物(シーツ、毛布、身分証、衣類)は取り上げないようにと指導しているとした。
 路上生活者のジョアン・ダミアン氏は「私たちは血の通った人間だ。雨が降ったら持ち物をかき集めて、ビニールシートにもぐりこむ。それさえなければ、ビニール袋を被る。朝起きて運が良ければ生きている」と語った。
 ジュリオ・ランセロッチ神父は「マットレスは個人の所有物ではないのか? 市長の現状認識は甘い。市は非人道的な行いを止めるべきだ。『公共の広場のスラム化を防ぐ』という目的は、人命より上に来るものではない」と語った。神父は、路上生活者が寒さにより少なくとも5人は死んだとしているが、サンパウロ市役所は死因は凍死とは断定できないとしている。
 また「シーツ、毛布、身分証、衣類などの個人所有物は取り上げてはならない」の指示も、守られているとは言い難い状況だ。サンパウロ・カトリック総合大学公共サービス学教授のイザウラ・オリヴェイラ氏は、「全て取り上げられたと語る人が何人もいる。『都市浄化』を言い訳にした排除だ」と語る。
 ハダジ市長は14日、「GCMへの非難が出ているのは知っている。個人の所有物を没収した者は、早急に規律委員会にかけられる」と語った。同市長は、サンパウロ市内1万6千人の路上生活者の内5千人は、市が交通手段を用意しても、避難所への入所を拒んでいるとも釈明している。
 サンパウロ市社会開発補助局(SMADS)の避難所は79カ所あり、収容可能な人数は1万1517人だが、14日早朝時点で1万1268人が入所している。
 14日のサンパウロ市の最低気温は前日を上回る平均7度で、最高気温は20度だった。