ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | クーニャ=下院倫理委が罷免を支持=チア下議らの翻意が決め手に=最後のあがきでCCJ控訴へ=運命の全体投票は不可避か
倫理委員会で決定的な役割を果たしたチア・エロン下議(Wilson Dias/Agência Brasil)
倫理委員会で決定的な役割を果たしたチア・エロン下議(Wilson Dias/Agência Brasil)

クーニャ=下院倫理委が罷免を支持=チア下議らの翻意が決め手に=最後のあがきでCCJ控訴へ=運命の全体投票は不可避か

 下院の倫理委員会は14日、停職中のエドゥアルド・クーニャ下院議長(民主運動党・PMDB)の議席剥奪を勧める意見書に対する投票を行い、11対9で罷免賛成が勝ったため、下院の全体投票に回すことに決めた。接戦だったが、直前に2人の委員が罷免賛成に票を投じたのが決め手となった。クーニャ議長は下院の憲政委員会(CCJ)に控訴する意向だ。15日付伯字紙が報じている。

 今回の投票は、事前から票が拮抗していると伝えられており、結論は自身の意向を発表していなかったチア・エロン下議(ブラジル共和党・PRB)に委ねられた状況だった。
 チア氏はクーニャ氏と同じ福音派議員で、15年の議長選挙でクーニャ氏に投票。ジウマ大統領の罷免審議でも賛成票を投じており、クーニャ氏寄りだと見られていた。罷免反対票を投ずるようにとのクーニャ派からの圧力も大きかったと報じられていた。
 チア下議は前回の委員会審議に欠席し、代理議員が投票するかとも囁かれたが、この日の投票には参加。「私には議長の罪を見過ごすことはできません」と語った上で罷免賛成に投じた。
 また、従来はクーニャ氏側と見られていた、ヴラジミール・コスタ下議(連帯・SD)も、直前になって寝返り、罷免賛成に票を投じた。
 この2人の票が入ったことで、投票は11対9で罷免賛成が勝ることとなった。10対10となった場合はジョゼ・カルロス・アラウージョ委員長(共和党・PR)が決定票を投じる予定だったが、それには至らなかった。なお、同委員長も罷免賛成派だった。
 これにより、クーニャ議長の罷免投票は下院本会議に回されることになる。そこで過半数の257票(記名票)を獲得すれば罷免となるが、クーニャ議長は結果公表から5営業日以内に下院憲政委員会(CCJ)に控訴することが出来る。CCJは投票結果を変えることはできないが、投票過程などに不服を申し立てることは可能だ。
 クーニャ議長は、これを活かし、罷免ではなく、もっと緩やかな処分に抑えることや、全体投票の引き伸ばしを図りたい意向だ。
 クーニャ氏の苦しい立場はそれだけではない。同じく14日、パラナ州連邦地裁のアウグスト・ゴンサウヴェス判事は、クーニャ氏とその家族の資産凍結と口座の情報公開を命じた。
 連邦最高裁のテオリ・ザヴァスキ判事は同日、ロドリゴ・ジャノー検察庁長官がトランスペトロ元総裁の盗聴でラヴァ・ジャット作戦捜査妨害を疑って出した、PMDBの大物政治家(レナン・カリェイロス下院議長、ロメロ・ジュカー前企画相、ジョゼ・サルネイ元大統領)への逮捕請求を無効としたが、クーニャ氏への請求は解かず、5日の釈明期間を与えた。