長崎県人会(川添博会長)は26日のコロニア芸能祭最終日に、長崎県伝統舞踊「龍踊り」を披露する。本番に先立ち19日、南米神宮の逢坂和男宮司を呼び「魂入れ」を行った。これは龍体に魂を入れ、ご神体にするもの。今回コロニア芸能祭で披露される龍体は、伝統を重んじ長崎県で「魂抜き」の儀式をしてからブラジルに送られた。
「気をつけ!」「せーの!」――鋭い号令で龍体は厳かに持ち上がった。声の主は、龍踊りのリーダーと玉使いを務める今村浩三さん(27歳、三世)。儀式前の練習には17~27歳の「龍衆」20人ほどが集まり、勢いよく4回ほどの通し稽古が行われた。
今回が初めてということもあり、荒々しい部分はあったが、龍衆の激しい動きと堂々とした龍体の迫力は、芸能祭のフィナーレを飾るのに相応しい力強さをかもしだしていた。午後5時に終えると、青年と家族など関係者が見守る中、魂入れの儀式が静かに始まった。
龍踊り実行委員長を務める川添さんは式中、「龍体が到着するまで色んな方のご支援をいただき、婦人部や青年たちなども頑張ってくれている。龍体も担ぎますが、いろんな方の想いも担いでいるのです。この伝統を大事にしていきたい。初披露でコロニア芸能祭のフィナーレを飾ることが出来るのは本当に光栄」と挨拶した。
儀式に立ち会った楠本留美コロニア芸能祭実行委員長は「長崎を訪れたときに龍踊りを初めて見た。その時にはブラジルで披露するイメージが出来ていた」と笑った。「海を渡ってきて、到着したときの龍体は壊れていて、本当に可哀相な姿でした。でもついに芸能祭でデビュー。感激です。これだけのことができたのは婦人部の方や、青年たちのおかげ」と感謝した。
今村さんは「龍踊りはとても気持ちが良い。でも、龍体はやっぱり重くて扱いにくい。だからこそ皆で力を合わせて出来るようにしたい。持ち上げた状態で走るのは力のない人には難しく、メンバーも色々変わってしまいました。でも、なんとかここまで出来ました」と振り返った。
展望を聞くと「改善点はたくさんありますが、気持ちだけは負けません。とにかくグループの気持ち、龍踊りをみんなに伝えることが出来れば、芸能祭の観客を感動させられると思う。緊張しますが、やるしかありません」と笑った。
龍踊りの公演依頼などの問い合わせは長崎県人会(11・4828・3611)まで。
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龍踊りは、龍が玉を追いかける「玉追い」、とぐろを巻いた龍が自分の体に隠れた玉を探す「ずぐら」、胴の下をくぐって再び「玉追い」という流れになっているという。一回目の玉追いの後、会場からいったん龍は去るが、「もってこーい!」という掛け声で再び現れ、さらに激しい龍踊りを見せる。川添さんは「この掛け声が大きいほどたくさんの福が来る。大きな声で叫んでください」呼びかけた。芸能祭での掛け声はいかに。