世界アンチ・ドーピング機関(WADA)が24日、リオ連邦大学付属のブラジルドーピング・コントロール研究所(LBCD)によるドーピング検査を6カ月間停止すると発表したと25日付伯字紙が報じた。
LBCDは五輪向けのドーピング検査を行う国内唯一の機関で、国内での検査実施は09年の五輪招致時に連邦政府が確約した項目の一つだ。
LBCDはLadetecと呼ばれていた02年当時、WADAからドーピング検査を行うための認定を受けたが、12年4月にIRMS方式の検査の停止を命じられた。この検査は同年10月に再開され、13年2月からは設備拡張、充実のための工事が始まったが、同年8月には14年のW杯のためのドーピング検査の停止命令が出て、W杯関係の検査は全て、スイスで行われた。
LBCDと改名された研究所は15年5月に落成し、同月中にWADAが新たな施設を認定したが、同年11月に国際基準を満たすか否かの監査対象とされた。今年3月にブラジル政府がWADAの指示に従った改善を約束した後、リオ五輪に向けたドーピング検査の正式機関と認められた。しかし今回、再度の監査で技術的なミスが指摘されたため、五輪に向けた検査停止が命じられた。
LBCDは上告の余地を残しているが、8月5日までにWADAの再認可を得る事が出来るか否かは微妙。現在既にLBCDにあるものも含めた検査試料をパリに送るか、外国人科学者を連れて来て分析してもらうかのいずれかの可能性が強まった。この場合、試料の輸送費を誰が負担するかは今後の検討課題となる。LBCDの拡張・改善工事にはスポーツ省が1億1270万レ、教育省が2850万レなど、1億5120万レ(エスタード紙より、フォーリャ紙では1億8800万レ)が投じられた。エスタード紙によれば、両省は機材や検査用試薬などにも6千万レと1460万レの計7460万レを投じたという。