テメル暫定政権は6月29日、ボウサ・ファミリアを平均で12・5%調整すると発表した。この調整率は、ジウマ大統領が5月に発表していた数字を上回るものだった。6月30日付伯字紙が報じている。
今回の調整は2014年5月以来、初となる。ジウマ大統領は停職直前の5月、「ボウサ・ファミリアを9%上げたい」と話していたが、テメル暫定政権の調整案は、それを3・5%ポイント上回るものとなった。
この調整により、現在1380万世帯とされているボウサ・ファミリア受給世帯への平均支給額は7月以降、月162・07レアルから182・33レアルとなる。
今回の調整は極貧家庭と貧困家庭を判断する基準の変更も含んでおり、極貧家庭は家族1人当たりの月収が77レアル以下から85レアル以下に、貧困家庭も1人当たりの月収154レアル以下が170レアルに引き上げられる。現在の生活扶助の基本は極貧家庭に一律77レアル支給で、極貧家庭と貧困家庭に子供や妊婦がいる場合は、年齢に応じ、35~42レアルの扶助が最大5人分まで支給される。
それに加え、州立または市立の基礎教育校(幼児、初等、中等の3部門)に7億4280万レアルの追加支援を行うことも発表した。
この発表は、ブラジル国土地理院(IBGE)が、3~5月の失業率が11・2%と発表したのと同じ日に行われた。前四半期の失業率は10・2%だった。
また、10月に地方選が行われるため、連邦政府の新たな資金開放は7月1日より禁じられる。その前に、景気刺激や国民支援も含めた大型支出を行う必要があり、滑り込みの発表でもあった。
今回の調整に関し、オスマル・テラ社会・農務開発相は「前政権の招いた社会的混乱の影響は貧困者ほど深刻だ。彼らをこのまま路頭に迷わせるわけにはいかない」と発言。また、ボウサ・ファミリアでの調整は同省内の予算のやりくりで調整するため、支出増はジウマ氏が打ち出していた28億レアルの範囲に止まると強調した。
財政切り詰めが強く望まれている暫定政権だが、エスタード紙は、財政調整法案の承認を得るための「政治的支援額は1250億レアル分に上る」と計算している。その内訳は、18年までの連邦公務員の給与調整で680億レ、州の負債返済援助策で500億レ、リオ州への緊急援助で29億レ、ボウサ・ファミリアで28億レ、納税方式の簡便化で17億レとなっている。
ジウマ大統領はSBT局への取材に対し、「ボウサ・ファミリアの調整は国民に約束してなかったため、調整そのものが大幅に遅れた上、公務員給の調整に比べれば微々たるもの。公務員給の調整は財政責任法に違反している」と批判した。