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■訃報■香山栄一さん

 車椅子の移民史研究家として著名な香山栄一さんが3日午前11時半頃、イビウナ市内自宅で老衰のため亡くなった。享年90。市内のパス墓地にて、4日夕方に葬儀・火葬が行われた。初七日、四十九日法要については未定。
 1925年に福岡県で生まれ、33年に一家4人でノロエステ線チエテ移住地に入植し、農業一筋で働き、機械化した綿作りも行った。68年にはサンロッケ市で農機具店を開業。71年にイビウナ市で合資会社アグロ・カヤマを創立した。ところが72年に原因不明の病魔により下半身不随に。車椅子での生活を余儀なくされた。
 その後、90年にトレイス・イルモンイス発電所ダム開発に伴い、日本移民が建設したノーボ・オリエンテ橋が姿を消したことに端を発して、移民史が忘れ去られていくことに危機感を覚え、93年に自分史の上梓を皮切りに、移民史研究に没頭した。
 北中南米の日本移民や外国系コロニアなど多岐に及ぶ文献を収集し、自分史執筆希望者への編纂協力なども手がけてきた。一時は自宅に3千冊以上もの移民関係資料の蔵書を持っていた。研究からは5年前に離れ、1年前から老衰が顕著となり療養していた。