11年に約40億レアルでスキンカリオルを買収、国内シェア2位の会社としてスタートしたブラジルキリンが、大幅赤字に転じて国内シェアも4位転落、各銘柄の位置づけの見直しや今年だけで2億レアルの経費削減といった建て直し策を打ち出したと4日付エスタード紙が報じた。
日本の市場が縮小する中、日本国内の競合各社に先んじてブラジルに進出したキリンは、買収初年の売上を前年比7・5%増とし、Ambevを脅かすかの業績を上げた。
だが、15年のブラジルキリンの売上は前年比25・4%減の1340億円(約13億ドル)で、キリン・ホールディングス全体の売上が上場以来初の大型赤字で終わる原因となった。ブラジルキリンは大幅な売上減を、ドル高と国内のビール販売の16・8%減少が原因としたが、国内各社のビール販売は約2%減ったのみで、ブラジルキリンのシェアは4位に転落。同社には業績回復のための方針明示も求められた。
本社からの支援と指示を受けたブラジルキリンは総力を挙げ、第1四半期の販売減少を回避したが、同四半期の収支バランスは依然、6200万レアルの赤字で、アンドレ・サレスブラジルキリン社長が6月7日に新たな回復策を提示した。
主要な対策は、ポートフォリオの見直しと今年だけで2億レアルの経費削減で、市場では、ブラジルキリンが13ある工場の内2工場を手放す事を考えていると見ている。
工場買収の可能性が高いのは、今年4月にリオ州の工場を一つ買収したAmbevだ。また、現在はまだ10%以下だが着実にシェアを伸長中のハイネケンも買収に積極的だ。工場売却は代表的な経費削減策の一つで、購入側も設備投資が半額位で済む。
銘柄の見直しでは、売れ筋のDevassaをプレミアムより廉価な範疇に、また、Eisenbahnをプレミアムに落とす案が出ている。
市場関係者は、同社の回復策は有効だが、競合各社が力をつけている事もあり、黒字確保やシェア拡大は容易ではないとの見方を示している。