その才能を誰からも認められながらも、怪我や不調で長らくチャンスを不意にし続けたブラジル・サッカー界の天才プレイヤーといえば、パウロ・エンリケ・ガンソ(26)の名前があがるが、そんな彼に遂に欧州のビッグ・クラブからのオファーが届いた。
ガンソといえば、10代の頃から同じくサントスにいたネイマールと共に「未来のセレソンの中軸」の呼び声も高く、2010年W杯に選ばれてもおかしくなかったと評判だった。
その後は2011年にサントスでリベルタドーレス杯を制すも、セレソンの不動のエースに成長し、バルセロナに移籍したネイマールとは対照的に、故障と不調でサントスを追われ、サンパウロに移籍したのみで、セレソンにも2012年以降は呼ばれなくなっていた。
その後もガンソは、サンパウロで時折目の覚めるような活躍をしたかと思えば、敗因にあげられるような拙いプレーで批判も受けた。チームも上位には食い込むものの、タイトルに手が届かない状態が続き、それはまるで、伸び悩むガンソと歩調を合わせたかのようでもあった。
だが、2016年はガンソにとって、久々に明るいニュースの多い年となった。リベルタドーレス杯では彼自身の活躍が光り、サンパウロの準決勝進出の立役者となった。
この活躍が認められ、6月に行われたコパ・アメリカ100周年記念大会では、代行出場のカカーのさらに代役という形ではあったが、4年ぶりのセレソン召集を受けた。この大会では彼の出番はなかったが、チームが予選で敗退すると、「なぜガンソを使わなかった」と、そのプレーが見られなかったことを嘆く声も聞かれた。
そんな矢先、スペインの名門セヴィージャから、ガンソへの獲得オファーが届いた。セヴィージャはサンパウロの元同僚で、セレソンのストライカーだったルイス・ファビアーノも活躍したクラブで、チャンピオンズ・リーグにも出場できる強豪だ。
サンパウロはガンソは不可欠とし、セヴィージャの800万ユーロのオファーを断った。
一方のセヴィージャも、昨年までチリ代表を率いていた名将ホルへ・サンパオリ監督がガンソを気に入っており、獲得を強く望んでいることから、金額を上げて再オファーをかけると見られている。ガンソ本人もこのオファーには前向きだという。
ガンソは6日のリベルタドーレス杯準決勝は肉離れのため欠場が決定。これで仮にセヴィージャ行きを逃すとなると、「悲運のエース」にさらに悲しいエピソードが加わることとなりかねないが、果たして運命は。(5日付スポーツTVより)
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