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ジョゼ・セーラ外相(Rovena Rosa/Agência Brasil)
ジョゼ・セーラ外相(Rovena Rosa/Agência Brasil)

セーラ=ベ国のメルコスル議長国阻止へ=FHCと共にウ国で会談=民主主義問題で強い疑問=左翼政権倒れて形成逆転

 ジョゼ・セーラ外相(民主社会党・PSDB)は5日、カルドーゾ元大統領と共にウルグアイのモンテビデオに向かい、同国の首脳と会談を行った。目的は、南米共同市場(メルコスル)でベネズエラが次の議長国になるのを牽制するためだ。6日付伯字紙が報じている。

 セーラ外相と、ウルグアイ側からゲストとして招かれたカルドーゾ氏はこの日、空軍機でモンテビデオ入りし、タバレ・バスケス大統領やロドルフォ・ニン・ノヴォア外相らと会談を行った。
 セーラ外相たちの目的は、メルコスルの次の議長国となる予定のベネズエラの就任延期だ。
 現在の議長国はウルグアイで、持ち回り制の順番通りなら次の議長国はベネズエラだ。原則通りなら、議長国は今月12日に交代となる。
 だが、ベ国に対しては、パラグアイが「ベネズエラはメルコスル憲章にある、国内の民主主義を守れていないのではないか」との疑問を呈しているのをはじめ、アルゼンチンのマクリ大統領もベネズエラに強い反感を持っている。セーラ氏も5月の就任早々に、ベネズエラでのボリバル主義拡大に強い懸念を示していた。
 会議後、カルドーゾ氏は「メルコスルでのルールを侵したいわけではない」としつつ、「だが、ベネズエラには、メルコスル参加のための必須条件である国内問題を解決してから議長国に就任してもらいたいだけだ」と語った。
 ベネズエラではここ数年、ニコラス・マドゥーロ政権に反対する政治犯の不当拘束が国際的に人権問題として扱われており、メルコスルのみならず、米州機構でも事情説明が求められている。また、同国は、経済破綻による物資不足で、全国的に混乱の最中でもある。
 また、かねてから反欧米の社会主義路線のベネズエラが議長国となることで、欧州連合(EU)との関係が悪化することも恐れられている。
 セーラ外相らは、ベネズエラが参加国に値するかを確かめるため、議長国になるのを半年先延ばしすることを望んでいる。だが、この情報を受け取ったベネズエラのデルシー・ロドリゲス外相は、「セーラ氏は国際外交の基本を犯している。非礼きわまりない」と批判し、さらにテメル暫定政権がジウマ政権をクーデターで追い出したとして批判した。
 そもそもベネズエラは、パラグアイが2012年に議会クーデターで左翼系の大統領を罷免してメルコスルの参加資格が差し止めになっている間に、チャベス政権以来の親ベネズエラ派だったジウマ大統領やアルゼンチンのクリスチーナ大統領(当時)の後押しでメルコスルに加入していたいきさつがある。