昨年末から、プレー先を巡り、落ち着かない日々をすごしているブラジルのストライカーのひとり、アレッシャンドレ・パト(26)が、ここに来てまたも移籍先を取り沙汰されている。
パトの流浪のそもそもの原因を作ったのはコリンチャンスだ。期待されてイタリアの名門ACミランに移籍し、一時は活躍したものの、怪我と不調でミランを出ることになったパトと4千万レアルの巨額契約を結んだのは2013年のこと。
だが、13年のシーズンが不調だったパトは控え選手となり、14年のサンパウロ州選手権での試合でPKをはずすと、ファンからの反感が一気に高まった。
そこでサンパウロの中心選手だったジャジソンとの交換トレードとなった。サンパウロ移籍後のパトは復調し、101試合で38点を記録。得点王ランキングで上位につけるほどにまで調子を戻してきた。
欧州復帰の希望もあるパトは、15年の終りになるとサンパウロを退団したが、ここからがややこしかった。
なぜなら、ジャジソンとの交換移籍が、「レンタル」の形で行われていたためだ。サンパウロ退団も形式上は「レンタル期限切れ」だった。
本人の不調で交換移籍に出したコリンチャンスとしては在籍させても居場所が見つけにくい状態にいたが、タイミングよく、1月下旬にイギリスの名門チェルシーからレンタル移籍のオファーがあり、これでパトは渡英した。
だが、若手フォワードの育成の方を重視したチェルシーでは出番がなく、移籍して数カ月はベンチにさえ座らない日が続いた。ようやく4月2日の試合で得点を決めたものの、チェルシー側はレンタル期限の6月30日以降の更新を望まなかった。
したがって、パトはコリンチャンスに戻ってきた。そもそもが13年からの4年契約だったために、期限は今年の12月31日まであるためだ。だが、パトの移籍願望は強く、コリンチャンスも彼を求めてはいなかった。
すると、イタリアの名門ラツィオから、移籍のオファーが舞い込んだ。契約金は500万ユーロ。レアルに換算して1800万レアルだ。
もう決して若い部類ではないパトだが、ブラジル人ストライカーの中ではまだ得点の結果を出している選手のひとりではあり、どこかの比較的強いチームに定着して実績をあげれば、決して層が厚いとは言えないセレソンのフォワードへの数年ぶりの復帰もまだ夢ではない。現在のたらいまわしの状況にどのような終止符が打たれるか。