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話題の議長辞任を〃目〃で表現=サンパウロの2大新聞

クーニャ議長の目を一面に大きく使ったサンパウロの二大新聞

クーニャ議長の目を一面に大きく使ったサンパウロの二大新聞

 7日、エドゥアルド・クーニャ下院議長が議長辞任を発表し、ブラジル中で大きな話題を呼んだが、サンパウロの2大新聞、フォーリャ紙とエスタード紙は共に8日付の一面に、同議長の目の部分だけを切り取った横長の写真を掲載して、議長職辞任を報じた。
 ジウマ大統領の停職処分や罷免問題は、日本を含め、全世界に報じられているが、ブラジル国内でのインパクトならクーニャ氏も負けていない。なぜなら、クーニャ氏は2014年以降、議会内にジウマ氏の「天敵」として君臨し、その敵対関係から、ジウマ氏に対する議会での罷免審議の手続きが実現、下院投票での罷免審議継続賛成にまでこぎつけたからだ。
 それと同時にクーニャ氏は、ブラジル政治史を揺るがす大型汚職を摘発した連邦警察のラヴァ・ジャット作戦で最も不正が表面化した政治家でもあり、自身への賄賂受け渡しに使った国外の秘密口座が、自身の写真や署名までついた状態でネット上で暴露される恥をかきながらも無罪を主張、自身の議員罷免を問う下院の倫理委員会でも何度も妨害を図り、審議のやり直しを求めるなど、政界きっての悪役ぶりを発揮していた。
 いわば、クーニャ氏こそがこの数年のブラジルの激動する政界の象徴的存在だったわけだが、そんな同氏を、ブラジルのマスコミはかねてから目立つように取り上げ、これまでにもかなり印象的な顔の表情をとらえた写真が新聞や雑誌に掲載され続けてきた。ある時は下のアングルから覗き込んだ気味の悪い笑顔、またある時は建物の影から覗き見するようなショット。そこには、何かを企んだような、そんな表情が浮かんでいたものだった。
 そして今回、奇しくもサンパウロの2大新聞は、アングルこそやや違え、全く同じイメージの写真を共に表紙に使った。しかも使った部分は顔全体ではなく、トレードマークになっているめがねの部分だけ。こういう表紙写真の表現は、日本の新聞や雑誌では通常思いつかない、かなり大胆なものだ。
 同議長は感情的になると目をむいた表情をすることがよくあるが、議長辞任の会見では、同じくラヴァ・ジャットで容疑がかけられている妻や娘に話が及び、目を真っ赤にして泣いた。まさに「鬼の目にも涙」の瞬間とでも言うべきか。
 いずれにせよ、良くも悪くも、クーニャ氏がブラジル政界の歴史に残る役者であることは間違いなさそうだ。