ブラジル新潟県人会(南雲良治会長、会員180家族)が主催する「創立60周年記念式典」が、3日午前10時から宮城県人会館で盛大に行われた。新潟県から駆けつけた泉田裕彦県知事、県議会の早川吉秀議長ら20人の慶祝団を含め、当日の来場者300人とともに盛大に祝った。
式典は午前10時に始まり、県人会会員を中心に300人も集まり、宮城会館はいっぱいになった。南雲会長は挨拶で「三世、四世など若者との交流も増やし、日伯間で実のある交流関係を築きましょう」と語った。泉田知事は「新潟は今、世界の復興を手伝う側。東京五輪の際にぜひブラジル人、ブラジルの新潟県民の助けになりたい」と協力を申し出た。
新潟日報社の小田敏三代表取締役社長は挨拶で、「弊社の記事にも出たことがある南雲会長にやっと会う事が出来ました。新潟日報は、各国の県人会などとつながりを作り、記事の交換や紹介をし、交流を図っています」と紹介した。
中前隆博在聖総領事、松尾治文協副会長、尾西貞夫援協副会長、山田康夫県連会長、羽藤ジョルジ市議らが祝辞をのべ、母県との友好関係強化への期待や当地在住県民の功績を称賛した。
県人会から母県に記念品を贈呈した後、南雲県知事から日系3団体へ寄付金が贈られた。
その後、県費留学生・研修生代表の斎藤由美さん(27、三世)が「10カ月の留学で、いい先生や友達に会えてとても良い経験でした。この機会をくださった泉田知事、南雲会長、ありがとうございます。これからもこの関係が続いてほしい」と感謝した。
ケーキカットでは南雲会長、泉田知事、早川県議会議長、中前総領事の4人でナイフを入れ、南雲会長がろうそくの火を吹き消すと大きな歓声が上がった。鏡割りでは新潟の醸造酒「八海山」が使われ、東京新潟県人会の平辰名誉会長が乾杯の音頭を取り、会場一体となって盛り上がった。
祝賀会では民謡の発表の他、剣舞が披露され、ブラジル人が躍る日本舞踊に泉田知事も携帯電話を取り出し撮影するなど楽しんでいた。
来伯した県知事政策局の佐野哲郎政策課長は本紙の取材に、「五輪を機会に交流が増えることを期待する。交流の積み重ねが大事」と語った。
南雲会長の兄、良一さんは今回の式典について「こんなに人が集まってくれて嬉しい。今後は若い人たちがもっと関心を持って集まってくれることが大事」と答えた。
県知事らは当日の午後8時の便で、米国のニューヨークに出発した。来年から流通予定のコシヒカリの新種「新のすけ」の売り込みのため、別動隊と現地で合流し、現地の料理専門学校などを訪問し、トップセールに励んだ。
前夜祭で慶祝団を大歓迎=200人一緒に盛り上がる
新潟県人会創立60周年記念式典の「前夜祭」が2日午後7時から、サンパウロ市のニッケイパラセ・ホテルで行われ、来場者200人が慶祝団の到着を祝った。南雲良治県人会長と泉田裕彦新潟県知事が参加への喜びを述べ、お互いの益々の発展、協力を誓った。
慶祝団の一人、新潟日報社の小田敏三代表取締役社長は、「『川を登れ、海を渡れ』という言葉が大事だと思う。世代間の交流を深めるためには、日本人も日系人もお互いに自分のルーツや歴史を学んで、海外の経験をもっと積んで欲しい」と期待した。
今年度の県費留学生の藤村せいじマルシオさん(28、三世)は、「今日はとてもめでたい日。参加できてうれしい。新潟大学に留学して経営学を学びます。とても楽しみ」と語った。
新潟県から県人会への記念品贈呈が行われた。恒例のサンバショーでは泉田知事や早川新潟県会議長など慶祝団、会場の出席者も参加して盛り上がった。
交流通しお互いの発展を=新潟県知事 泉田裕彦
新潟県人会館が改築により、きれいになっていて喜びを感じました。これを機にブラジルの新潟県民が新潟県人会館に足を運び、日本とブラジルの新潟県民の交流拠点となり、大いに活躍することを期待しております。
現在新潟県は県内の交通網整備などの課題に取り組んでいます。また、今年のリオ五輪には新潟県民の選手も向かいます。
東京五輪の際には五輪選手合宿地などとして、ぜひ新潟県に協力させてください。近年では自然復帰の兆しがみられ、ビオトープ(生物生息空間)などを直したら、コウノトリが戻ってまいりました。佐渡島では160羽のトキが飛んでいます。
みなさんが新潟に来られた際には、自然の中で遊ぶトキが見られるかもしれません。日本の中でも四季豊かな皆さんの故郷、新潟県で皆さんをお迎え、おもてなしをしたいと考えております。
また、2007年7月に中越沖地震が起きた際、ブラジル、世界から復興基金などたくさんのご支援をいただき、復興する事が出来ました。
日本では今年4月の熊本地震、昨年9月の関東・東北豪雨で被災し、いまだ復興を目指し尽力する地域が多く存在します。
今、新潟県は復興の協力をする側です。支援してくださったブラジル、ブラジル新潟県人会や世界の皆さんに恩返しをしていきたい。
新潟県人会の益々のご発展を願いまして、挨拶を終わりとさせていただきます。
「魅力のある新潟県作る」=県議会議長が在伯県人に約束
創立60周年記念式典に出席した早川吉秀県議会議長は、ブラジルの新潟県民の功績を称え、それに習って、新潟県の発展に尽力したいと、次のように語った。
「ブラジルにおける新潟県人は、自身の社会的地位を向上させ、日伯の新潟県民の関係を深めてこられました。心からの感謝と喜びを申し上げます。最初の移民から始まった血の滲むような努力に対し、たくさんのお礼といたわりの言葉を贈ります。現在日本、また新潟も人口減少に悩んでおりますが、郷土、歴史、四季に溢れた皆さんの故郷を発展させていくことが求められています。現在、新幹線や県内の高速道路などの交通インフラ整備など、様々な取り組みをしている最中です。ブラジルでご活躍中の多くの人の経験に習い、将来に希望と魅力のある新潟県を作ってまいります。また、日伯の相互理解、友好親善への尽力をしていきたいです」と終え、会場の雰囲気を盛り上げた。
母県に心から感謝=新潟県人会会長 南雲良治
笠戸丸が1908年、新潟県民の3家族9人を連れてこの地にやってきました。
想像しがたい苦難と苦しみを乗り越えると同時に、日本の教育を伝えることを忘れず、日本人の精神を養いました。
現在、日系社会には七世が生まれるとお聞きします。先人からの教育の積み重ねのおかげで、日系人には大きな財産が残り、今や師弟はブラジルのあらゆる分野で成功しています。
母県からのブラジル者の支えに感謝し、また実のある交流関係を築くため三世、四世との話し合いをしていきたい。若者との交流の機会をもっと増やしていきたい。
泉田裕彦県知事はじめ、今回お越し下さった方々に感謝いたします。