20日より、サンパウロ市で、第11回目となるラテン・アメリカ映画祭が開催される。今年の同祭の特徴は女性監督による作品が格段に増えたことで、ラ米全体から集められた秀作が観客の目を楽しませてくれる。
まず、今回の大きな目玉となるのは、ブラジルの女性監督、アナ・ムイラエルテの特集だ。彼女が昨年製作した「キ・オラス・エラ・ヴォウタ」は、ブラジル映画としては久々に高い国際評価を得た作品で、国際的な映画賞も数多く受賞。一時は、主演のレジーナ・カゼも含め、アカデミー賞のノミネートも期待された作品だった。
映画祭初日に公開されるのは、アナの新作長編「マイン・ソー・ア・ウマ」だが、今回は、彼女がこれまで手がけた監督作や脚本作、23作品が一気に公開される。中には、ほとんど流通されることがなかった初期の作品もあり、現在ブラジル国内で最も注目されている監督のひとりである彼女の世界を堪能できる良い機会だ。
また、今回の同映画祭のもうひとつの売りは、メキシコ映画だ。「黄金時代のディーヴァ」と名付けられた企画では、1940年代に南米をにぎわせたメキシコの名女優たち、マリア・フェリックス、ニノン・セヴィージャ、マルガ・ロペス、ステラ・インダ、ドロレス・デル・リオらの代表作が上演される。
主催者のジョアン・バチスタ氏は、「今回の映画祭は従来通り、伝統的作品や著名な監督の作品も上映するが、メキシコで製作されたコメディやドラマなど、今日の南米映画が多数上映されること、女性監督の作品が従来になく多いことなど、これまでにない趣向がふんだんに盛り込まれている」と語っている。
期間中は13カ国で製作された映画、118作品が上映される。「カメラの後の女性たち」と題する企画では、メキシコの新進女性監督による2014年と15年の作品を集めており、アレハンドラ・マルケス・アベージャやテレーザ・カモウといった、現在のメキシコを代表する女性監督らの作品を楽しむことができる。15年にメキシコで作られた長編映画の4分の1は女性監督の手になるものだという。
同映画祭は27日まで開催される。詳細は公式サイトhttp://www.festlatinosp.com.br/2016/まで。(19日付アジェンシア・ブラジルより)