リオ五輪開会まで一カ月を切ったが、ブラジルで組織されたと考えられる団体がイスラム国(IS)に忠誠を誓い、ポ語に訳された広告動画を通信アプリ「テレグラム」で配信した。動画はイスラム過激派の行動を監視する米国組織「サイト・インテリジェンス」が確認した。
この団体は「ブラジルのカリフの軍(Ansaral-Khirafah Brazil、AKL)」と名乗り、17日(日)にIS主導者(カリフ)のアブー・バクル・アル=バグダディ氏への忠誠を表明した。
バグダディ氏へのメッセージはブラジル国旗の上にアラビア語で表記された。また、ISの広報雑誌の「ダービク(Dabiq)」が掲載した14個の数字を英語で表した意味深なメッセージや、テロリスト集団の広報係アブー・モハメド・アル・アドナニが5月に行ったスピーチの翻訳も配信された。
AKLはその動画で、全ての規則を守り、反対勢力と戦うことを約束した。また、最近の仏国で繰り返し起きているテロの事例を挙げ、仏国警察によるブラジル警察への訓練の効果に疑問を投じた。
リオ五輪期間中、ブラジルの治安担当者達が最も懸念していることの一つは、米国や欧州でも最近起こった、ISISのリーダーから直接命令を受けてはいないが、その影響を強く受けた「一匹狼」による単発的なテロ行為だ。
五輪期間中の安全確保には100カ国の警察や諜報機関職員などが協力しているが、一匹狼は行動を予測しにくく、治安関係者の頭痛の種となっている。
なお、ミシェル・テメル大統領代行は関係者の不安を払拭するため、18日に「リオ五輪の期間中の治安対策は強化されており、選手や観光客の安全は確保されている」とするビデオメッセージを流し、外国メディアにも配信した。(19日付エスタード紙などより)