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ベネズエラに明日の日本を見た

 19日夜、ベネズエラで大統領罷免を問う国民投票実施を求める書類に署名した労働者が解雇されたとの報道に、明日、否、今日の日本だと思った。参院選前に真の争点は改憲だと指摘、野党の統一支持を得られたら東京都知事選に出馬と言った石田純一氏が、都知事選出馬を断念、他候補の応援や政治的発言をしないとも約束させられたとの記事も見ていたからだ▼反体制派の政治家が投獄され、民主主義弾圧と叫ばれているベ国と比べれば、現在の日本はまだましだ。だが、衆参両院で3分の2を収めれば、戦前に戦争反対を唱えた立憲民政党の斉藤隆夫衆議を除名した様に、国会議員を除名し、国会を秘密議会にする事も可能だ。また、安倍政権が提唱する憲法改正案第9章の「緊急事態条項」が加筆されれば、政府は自由に政令を作る事が出来る上、国民は皆、政府の指示に従う必要が生じる▼衆参3分の2は改憲や野党弾圧、恐怖政治さえ可能にし、与党議員や閣僚に疑惑があっても証人喚問は不可、質問時間も制限されるようになるともいう。憲法学者の中には「16年7月10日は日本の民主主義が形式的なものになった日」と表現する人もいるが、大手マスコミも真の争点を報じなかったため、参院選が民主主義を賭けた選挙と知っていた国民は少ない▼本当に国民のための改憲なら、何故それを前面に出さなかったのか。対立意見があっても議論を重ね、相手を納得させてこそ民主主義ではないのか。ジウマ大統領は不都合な情報を隠して再選したが、争点隠しで欺かれるのは常に国民だ。天皇陛下の生前退位の意向表明は安倍政権独走を阻む最後の手との声に、憂慮の念が更に募る。(み)