21日、連邦警察はリオ五輪でテロを起こす可能性があるとして、全国で10人を逮捕した。アレッシャンドレ・モラエス法相によると、これは五輪中にテロを起こす可能性のある集団のひとつだったという。22日付伯字紙が報じている。
21日の連邦警察の捜査「ハッシュタグ」は、テロ防止法が初めて適用されたケースで、パラナ州連邦地裁第14法廷のマルコス・ジョゼグレイ・ダ・シウヴァ判事が、12人の逮捕と強制連行2件、家宅捜査19件を命じた。モラエス法相は「今回逮捕された容疑者の主犯格はパラナ州民だ」と発表したが、同判事は否定している。
今回の捜査対象は、インターネット上のイスラム過激派の動向を監視する米国組織「SITEインテリジェンス」が察知していた「シャリア(イスラム法)の守護者」と呼ばれるネット上の集団の構成員で、彼らに関する捜査は4月から始まっていた。彼らがイスラム過激派組織のイスラム国(IS)に忠誠を誓い、パラグアイから(軍用小銃の)AK―47を購入しようとしたことや、五輪中やISに敵対する国々でのテロをにおわせる発言を行うに至ったことが今回の逮捕劇のきっかけとなった。
捜査はサンパウロ州はじめ、リオ、南大河、ミナス、パラナ、パライバ、ゴイアス、セアラー、マット・グロッソ、アマゾナスの10州で行われ、10人が逮捕された。残り2人の容疑者は国外逃亡の可能性もある。
逮捕令状が出た12人と強制連行された2人は名前だけが明かされているが、サンパウロ州グアルーリョス在住のヴィトル・バルボーザ・マガリャンエス(通称ヴィトル・アブドゥラ)と、パライバ州在住のアントニオ・アンドラーデ・ドス・サントス・ジュニオル(通称アハメド)両容疑者は、13~14年に半年間、エジプトに留学した経験があり、二人揃った写真もある。
アハメド容疑者は留学前にイスラムに改宗していたが、留学後は公にISを擁護し、世界がISに対して行った「テロに対する報復処置」などを詫びる発言も行っていた。
モラエス法相によると、同グループはメール上でAK―47を購入しようとしたほか、数人はテロに備えて武術を習っていたという。また、教育活動と称してイスラム過激派の思想を植えつけていた可能性のある非政府団体(NGO)も捜査対象となっている。
モラエス法相は、今回の捜査で連警が「テロの可能性あり」と見なしていた2勢力のひとつが除外されたという。もうひとつは、15日に国外退去処分を受けた、リオ連邦大学元客員教授のアルジェリア系仏フランス人のアドレネ・イシュール氏だったという
今回の逮捕劇は、五輪を2週後に控えた時期ということもあり、国際的に一斉に報じられた。
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