サンパウロ州選出元上議のエドゥアルド・スプリシー氏(75、労働者党・PT)が25日朝、サンパウロ市西部で行われた不法占拠地からの強制退去を身を挺して止めようとして軍警に逮捕された。26日付伯字紙が報じている。
強制退去が行われたのは西部ラポーゾ・タヴァレスにある1万1千平米の市有地で、スプリシー氏は、立ち退きを拒否する住人たちと共に、横たわって反対した。当日は早朝から、バス焼き討ちやごみを燃やすなど、強制退去に反対する住人の抗議行動が続いていた。
スプリシー氏は、「退去に反対する住民を力尽くで追い払おうとして抗争が起き、負傷者が出るのを防ぐために横たわった」と主張している。
スプリシー氏はサンパウロ州地裁職員から2度、立ち上がるよう求められたが、従わなかったため、軍警4人に手足を取って運ばれ、サンパウロ市第75警察署に連行された。
この事件後、ジェラウド・アウキミンサンパウロ州知事(民主社会党・PSDB)はスプリシー氏の行為について「サンパウロ市側が地裁に法的な手続きを通して行われた強制退去だというのに」とサンパウロ市側の正当性を認め、スプリシー氏に関し「立ち退きに遭う家族たちの弱い立場を利用するのは嘆かわしい」と語った。
一方のPTは、「アウキミン知事が管轄する軍警の残虐行為は受け入れがたい」と抗議した。
スプリシー氏は1991年2月~2015年1月の24年間、上議をつとめ、サンパウロ市市長やサンパウロ州知事への出馬経験もある。15年2月からはフェルナンド・ハダジサンパウロ市市長(PT)の下で人権局長をつとめていたが、サンパウロ市議選に出馬するために4月で同職を辞していた。
なお、スプリシー氏は同日午後3時には釈放され、その足でサンパウロ市セントロのルーズベルト広場に向かい、人種差別や性差別に反対する黒人女性のデモ行進に参加した。