国家衛生監督庁(Anvisa)が25日、デング熱の予防ワクチンDengvaxiaの価格を132・76~138・53レアルと決め、国内でのワクチン売買が可能となった。26日付G1サイトによると、パラナ州は既に、8月に予防キャンペーン実施を決め、50万回分のワクチンを注文したという。
Dengvaxiaはフランスの製薬会社サノフィ・パスツールが開発したもので、15年12月にAnvisaが使用を認可した。このワクチンは20年かけて開発され、15カ国で治療実験が行われた。ブラジルでは3700人を被験者とした実験が行われ、感染者数は81%、重症患者数は93%の減少をみた。
同ワクチンは4種類のウイルス全てに効くとされているが、平均予防率は66%で、3人に1人は接種後も感染する可能性がある。また、6カ月毎に計3回の接種が必要で、接種可能な年代も9~45歳に限定されているが、国内初のワクチンの売買認可はデング熱拡大で不安に駆られている人や地域には朗報だ。ただし、前述価格は病院や診療所などへの販売価格で、接種を受ける人の負担額はこれ以上となる。
国内で最初に予防接種キャンペーン実施を決めたのはパラナ州で、8月13日~31日に患者発生率が特に高い30市で行う。接種対象は15~27歳の市民だが、パラナグアとアサイでは9~44歳が対象となる。
同州の15年8月以降の患者数は5万5640人で、1週間で380人増えた。死者数は今年だけで61人に上る。同州保健局によると、89市が流行状態で、最も深刻なパラナグアは患者数1万5779人に死者29人。フォス・ド・イグアスやロンドリーナも、6309人と4443人など、感染が拡大中だ。
同州政府は6月、デング熱関連経費は直接・間接を合わせて年20万レに達したと発表し、50万回分のワクチン購入の意向を表明していた。
また、患者数最多のサンパウロ州ではDengvaxiaを使った予防接種キャンペーン実施計画はないが、サンパウロ市内の私立の診療所などは既にワクチンを注文済みだ。27日付G1サイトによると、今週末か来週から接種が可能となるという。
Dengvaxiaは予防率や価格などの面で難点があり、統一医療保険システム(SUS)で予防接種ワクチンとして使うのは困難だ。保健省は、現在ブタンタンで開発中のワクチンの完成を待つ意向だが、ブタンタンでのワクチン完成は2年後となる見込みだ。