サンパウロ市在住のデザイナー、ハヤシ・ローミーさんらがデザインしたトーチ「シャーマ・オリンピカ」による聖火リレーは5月3日、首都ブラジリアで口火を切った。リオ五輪に合わせ、全伯各地で聖火ランナーが開幕機運を盛り上げている。全州300以上の市町村を約1万2千人がつなぎ、サンパウロ市を始めパラナ州では日系人もリレーに参加した。開会式の行われる8月5日にリオのマラカナン競技場へ到着する。
首都を後にした聖火はバイア州など北東伯海岸部を経て、6月15日にパラー州ベレンへ。北米の総合格闘技UFCで活躍する町田リョート選手(38、二世)が州内一番手として登場。幼少期を過ごした故郷で大役を果たした。
内陸部から南下し、途中、パラナ州ロンドリーナでは同月28日、吉井貴美子さん(吉井建設の吉井篤社長夫人)がトーチを握った。南端の南大河に到着した後は北上し今月16日、サンパウロ州に再上陸。同日夜、聖南西イタペチニンガでは、柔道界初の五輪メダリスト石井千秋さん(74、栃木)が三女ヴァニアさんと参加し、共に五輪に出場した柔道親子が聖火をつないだ。
24日にはサンパウロ市へ。日系WEBを運営する小川彰夫さん(73、二世)が同日昼、ヴィラ・クレメンチーノ区のケンイチ・ナカガワ広場から約200メートルを走った。「現場はお祭りのような雰囲気」と話し、「受け取ったと思ったらもう終わっていた。周りが盛り立てる中、あっという間」と夢の舞台を楽しみ、次走者であるニッポン・カントリークラブ代表、佐々木ワルテルさんの息子クラウジオさんに引き継いだ。
その後、体操競技で審判を務める沢里由美さん(66、二世)も登場。ブラジル大通りで聖火を受け取り、「言葉では表せないほどの感動。走者の一人としてリレーに参加できるなんて!」と興奮した様子で話した。
26日にはスザノ市の女子相撲選手、渡辺ルシアーナさんらも地元を快走。世界選手権銀メダルという経歴を胸に、笑顔で参加した。聖火リレーもいよいよ大詰め。昨日27日、ついにリオ州へ到着した。
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リオ五輪を前に全伯を駆け巡った聖火。サンパウロ市内を走った小川彰夫さんの出番は分刻みで定められたが、万全な運営体制で時間通り進められたそう。対してイタペチニンガを走った石井親子。こちらは悪天候などの理由で1時間以上の遅れがあったとか。果たして本大会はどっちに転ぶ? ちなみに小川さんのトーチは海外移住資料館(横浜)へ送られ、企画展示「二つのオリンピック―スポーツがつないだ日系社会」で展示される予定。日本で唯一のリオ五輪トーチの実物を見たい人は、ぜひ同館へ。