ブラジル日本商工会議所(村田俊典会頭)の定例昼食会が22日、サンパウロ市チヴォリ・サンパウロ・モファレッジホテルで開催された。ジェトゥリオ・ヴァルガス財団(FGV)大学経済学部のヴェラ・エレナ・ソーステンセン教授を招待し、ブラジルの国際貿易におけるチャレンジをテーマに講演が行われ、約140人の会員が出席した。
世界貿易機構(WTO)で15年間の業務経験を持つ国際貿易規制のスペシャリストであるヴェラ教授は、開口一番に「朗報です。暗雲がようやく散り始めました」としてブラジル経済の兆しを説明。「暫定政権樹立後、先月はペトロブラス関連を中心に国外からの直接投資が入ってきました。どん底は過ぎました。あと2カ月で黒い雲が晴れるでしょう」と見通した。
国家間における貿易や関税障壁が低くなるなか、「20世紀は関税自由化、21世紀は法規収束化」と謳い、「特に地域レベルでの合意に着目すべき」と同教授は語る。WTOウルグアイ・ラウンドでの頓挫により、二国間・地域間協定が推進されてきた背景から、環太平洋経済自由貿易協定(TPP)などの動きに注目し、地域経済圏でどのような法規が構築されるかが重要という。
そのなかで、「ブラジルは労働者党(PT)政権のもとで、孤立を深めてきた。PTの経済モデルは成長限界に達した」と指摘し、自由貿易を推進して成長を遂げたメキシコやチリ、ペルーなどの太平洋側とメルコスール加盟国の大西洋側とで明暗が分かれたと説明した。
世界経済は今、為替戦争が勃発するなど困難な状況にあるが、「ブラジルは忘れていた重要な宿題に着手しなければならない」として、EUや米国との自由貿易協定に向けた取組みの必要性を訴えた。
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